2012 Fiscal Year Research-status Report
脳機能維持・向上に関わる手芸活動の重要性に関する研究
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24500912
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
大森 正子 神戸女子大学, 家政学部, 准教授 (10397490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 令子 椙山女学園大学, 生活科学部, 准教授 (80139964)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ライフスタイル / 手芸活動 / 手指運動 / 脳機能 |
Research Abstract |
被験者は熟練者11名、非熟練者22名の計33名を対象として実験を行った。非熟練者の内訳は学生13名、主婦9名である。脳年齢テストの結果は、熟練者の平均実年齢が58.4歳(±7.2)だったのに対して脳年齢平均32.4歳(±6.5)、非熟練者の平均実年齢28.7歳(±8.4)だったのに対して、脳年齢平均30.6歳(±7.6)であった。 非熟練者の学生と主婦では、学生の実年齢平均21.7歳(±1.5)、脳年齢平均31.1歳(±6.5)、主婦の実年齢平均37.6歳(±3.0)、脳年齢平均30.0歳(±9.9)という結果であった。熟練者は有意に実年齢に比較して脳年齢が若い結果であった。しかし、非熟練者では、年齢による影響があることが示唆された。 また、TMTテストの結果では、TMT-Aの遂行時間が熟練者では平均23.8秒(±6.1)、非熟練者では、平均19.3秒(±4.0)であった。TMT-Bの遂行時間は、熟練者平均57.8秒(±12.7)、非熟練者43.1秒(±13.1)という結果であった。 手芸活動経験の有無が脳機能に影響しているかをあきらかにするため、脳年齢テスト、TMT-A、B試行時の経験者、非経験者の脳血流動態と眼球運動を計測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
経験者と非経験者の脳機能を定量的・定性的に測定するため、手芸経験者と非経験者を対象に脳年齢テスト、TMT-A,B を行っているときの脳活動(FOIRE-3000)、眼球運動測定(EMR-9)を行った。熟練者、非熟練者とも予定の人数を被験者として実験することができた。生理計測として脳年齢テスト、TMT-A,B試行時の経験者,非経験者の脳血流動態と眼球運動を計測した。実験は当初の予定どうりに終了することができた。 実験では、NIRSのプローブとアイマークカメラを同時装着して実験を行うため、顎台は用いなかった。そのため、眼球運動計測では、当初は解析ソフトを用いて、瞬目回数、瞳孔反応、停留回数、停留時間、移動方向、移動速度の解析を行う予定であったが、画面の揺れが大きく、ソフトを使用することができなかった。また、眼球運動解析ソフトはレンタルしており、長期間のレンタルが難しく、レンタル期間の調整等行いながらコマ送りで解析しているため、当初の予定より解析が長引き、現在も解析中である。 脳活動は、脳血流動態を機能的近赤外分光法(fNIRS:functional-infrared spectroscopy)(島津製作所近赤外光イメージング装置、FOIRE-3000)にて測定し、酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)、脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)および総ヘモグロビン(total-Hb)の3種類のデータを得ることができた。脳の神経活動と正の相関があると報告されている酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)を分析の対象とし、oxyHb 濃度長の変化から基準条件(レスト)を減算することにより、脳年齢テスト、TMT-A,B 試行時における活性化領域の違い、スキルの差による影響を比較するため、手芸活動経験者・非経験者の社会活動活発群・非経験者の若年者群の3 グループについて比較検討しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
手芸活動が脳機能へ与える影響と、手芸活動期間を明らかにするため、非経験者に長期間(3ヶ月)手芸活動を行い、手芸活動の初日、実験開始1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後(最終日)に脳年齢テスト、TMT-A,B、POMS、を行う。NIRS(FOIRE-3000)計測、眼球運動計測(トークアイIII)は実験開始前と後に計測を行い解析する。初年度の実験結果より、本年度はあご台を用いる。 被験者は手芸活動の非経験者とし、若年女子大学生10 名(椙山女学園大学、橋本担当)と健常中高年女性5名(神戸女子大学、大森、藤本担当)の15 名とする。実験方法は、手芸活動として、ネット手芸を用いることとする。ネット手芸は、図案の通りにネットに針で糸を刺していくという単純な作業ではあるが、その制作過程において、図柄を考えながらが、ネットに針で糸を刺すという視線移動を伴い、また、手指には適度な力を入れる必要があり、さらに,製作の段取りを考える、集中して作業するといった、思考や運動に関わる能力が必要であることから、本実験の課題とする。作品の製作進度は1週間ごとに確認しする。 ネット手芸課題選定のため、プレ実験として、4月から6月(14名の学生被験者:ネット手芸活動群7名、ネット手芸未活動コントロール群7名)、9月から11月(中年女性7名)の3か月間、ネット手芸を実際に週1回1時間(90分:準備後片付けを含む)計12回行う。この結果をもとに、7月から9月に本実験を椙山女学園大学にて学生10名を被験者として行うときの、課題選定をする。 解析方法は、前年度と同様の解析を行い、脳年齢とTMT-A,Bの結果を変数として、実験試行回数で統計解析を行う。以上の結果より、手芸活動期間と脳機能維持、向上について明らかにする。 ただし、神戸女子大での中高年女子を対象とした実験は、解析の結果次第では、次年度になることがある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費 150,000円 名古屋実験打ち合わせ、実験、解析打ち合わせ(8回),学会参加(東京2回) 人件費・謝金 220,000円 実験参加者への謝金(15名)、実験実施、データ解析のための人件費 その他 2,230,000円(NIRSレンタル料2,000,000円、ネット手芸材料費として230,000円)
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