2013 Fiscal Year Research-status Report
人間ー環境系を考慮した空調省力化のためのユーザモデリング技術に関する研究
Project/Area Number |
24500921
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小島 一恭 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (60361391)
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Keywords | センサーネットワーク / 空気調和 / 温熱的快適性 / 省エネ / 計測制御 / 環境計測 / 生体情報計測 |
Research Abstract |
本研究では,住環境において温熱的快適度を維持しつつエネルギー消費を低減するための新たな空調制御方法について,その効果を実環境における被験者を通じた実験により検証する.従来研究(科研費基盤研究(C)20500664)では,住環境の温熱特性および居住者の温熱的快適指標の予測方法を発展させ,温熱環境での個別の居住者の温熱的快適感と温熱環境に対する要求を推定する方法を研究開発し,実験室レベルでの検証を実施してきた.本研究では,実験範囲を実環境へと拡げる.実環境において,ネットワーク上の不特定多数のセンサ情報を選択的に使用し,その選択状況を動的に切り替えながら空調装置の運転時にオンラインで住環境と複数居住者の温熱特性をモデル化する.このモデルに基づき居住者の要求に応じた最小限の空調を行うことで居住者の要求を達成しつつ空調の省力化を図る.この実現のため昨年度までに実験環境の整備を実施し,従来の実験環境に加え,センサの種類,数を増やすとともに居住者からの申告をより抽出しやすいようにした.本年度はこれらの実験環境を使用して長期間の環境情報の取得し,昨年度に引き続きモデル化手法を検討した.検証実験において,従来のモデル化手法ではセンサ情報が欠落することで居住者の快適感や温冷感,要求などの予測が困難であったり,予測確度を大幅に下げる場合が生じることが明らかとなった.そこで,参照するセンサの数が減少しても予測可能でかつ予測確度を大きく下げることのない新たなモデル化手法を開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は昨年度に引き続き通常運転モードにおけるエネルギー消費の測定を行うとともに,初年度に開発した実験環境を用いて環境情報,生体情報の計測を行う予定であった.また,ネットワーク上の不特定多数のセンサ情報と居住者の要求とを関連づけるための検討を行い,その後,居住者の要求と関連づけられたセンサ群から居住者の温熱環境に対する要求を予測し,空調制御にフィードバックしてその省エネ効果を検討する予定であった.これらに対する達成状況を具体的な項目を挙げて示す.(1)通常運転モードにおける実験は継続して実施中である.(2)外部機器より制御可能な空調システムの開発は完成に至っていない,(3)複数居住者の温熱環境に対する要求の予測方法の検討については上述したとおり,従来手法に,センサ情報の欠落により居住者の快適感や温冷感,要求などの予測が困難であったり予測確度を大幅に下げる場合が生じることが明らかとり,新たなモデル化手法を開発した.(4)生体情報と環境情報の関係性,生体情報と快適感,温冷感,要求の関係性の検討についても,新たなモデル化手法を導入することによりそれぞれの関係性を明らかとした,(5)居住者の要求に応じた新たな運転モードによる効果の確認実験は制御系を構築中であり実験は開始するに至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年度までに開発したモデル化手法を用いて不特定多数のセンサ情報から居住者の要求を予測し,空調制御にフィードバックしてその省エネ効果を検討する.通常運転モードにおけるエネルギー消費の測定ならびに新たな運転モードによるエネルギー消費の測定を実施し,本手法の効果について検討する.具体的な項目は,(1)通常運転モードにおける実験の継続,(2)外部機器より制御可能な空調システムの開発,(3)居住者の要求に応じた新たな運転モードによる効果の確認実験である.(1)では,本研究での省エネ性・快適性の効果測定のため,空調装置を通常モードで運転し,環境計測ならびに生体情報計測を実施する.(2)は本研究で得られた知見を元にフィードバック制御を行う準備として空調装置に改造を加え,外部機器より制御可能にする.(3)は本研究により得られた方法で空調制御を行い効果を測定する.研究成果については適時,国内外の学会,会議等にて公開する.
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