2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500924
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
三野 たまき 信州大学, 教育学部, 教授 (00192360)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 被服圧測定装置 / 下肢 / R-R間隔 / ストレス指標 / 圧感覚 / 着圧ハイソックス / BMI / LF/HF |
Research Abstract |
下肢被服圧測定装置の開発:研究Iにおいて,日本人女性の平均体型の下肢マネキンを選定し,自作較正器で選定候補センサーの校正を行った。下肢マネキン上に圧センサーを埋め込む位置を選定し,現在センサーをマネキンに埋め込んで圧値を表示させ,検討している。 主観的適正圧の測定:研究IIにおいて,周応力発生時の主観的適正圧範囲の測定では,実際に被験者を用いて下肢を実験衣で覆った時の,圧感覚を判定基準とした圧値を詳細に調べ,主観的適正圧を算出した(論文執筆中)。 客観的適正圧の決定:研究IIIでは,自律神経系の諸機能の圧刺激に対する応答を調べた。心拍数・R-R間隔を3分間測定したデータから,R-R間隔のゆらぎを周波数解析し,交感神経由来周波数成分(HF)と副交感神経周波数由来成分(LF)の比(LF/HF)を求め,ストレス指標とした。 20代の若年成人女性(被験者A)と50歳代の成人女性(被験者B)2名のそれぞれ月経2周期にわたる心電図を測定したところ,被験者AのR-R間隔のゆらぎは被験者Bに比べ大きく,これまで被験者の年齢の差による報告と同様な結果となった。ストレス指標と基礎体温・寝室温・環境温との間の相関係数を求めたところ,日常生活におけるこれらの変化はストレス指標に影響を与えないことが明らかとなった。 成人若年女性9名の,就寝時に着用する着圧ハイソックス(以後SKSと略す)を履いた時のストレス指標と被験者のBMI,主観申告との間の相関係数を求めた。BMIとSKS脱衣後のストレス係数との間に有意な負の相関関係があったことから,BMIが高い人ほどきつさを自覚していないが,実はストレスが生じていることがわかった。なお,BMIが23.1以上の人はSKS脱衣後2時間経過すると,コントロールよりも容積が増加し,整容効果が期待できないことが分かった。高いBMI人用のSKSの設計条件を再検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は①下肢被服圧測定装置の開発と,②人体の下肢に圧負荷が加わった時の自律神経系の変化を明らかにする,大別して2つの目的がある。 平成24年度の研究計画では,①の下肢モデル,圧センサーの選定が終了し,これらを組み込み,圧表示する段階まで進んだ。また②では,心電図のR-R間隔の揺らぎから,LFとHF成分を求め,その比からストレスを求めるプログラムを組み上げた。20歳代と50歳代の成人女性各1名ずつ,計2名の心電図を計測し,ストレス指標を算出した.すると,環境温度と起床時の寝室温,基礎体温の日々の変化では,ストレス指標は影響を受けないことが確認された。その後,9名の若年成人女性を用いて,就寝時に着用する着圧ハイソックスが人体にどのような影響を与えるかを調べた。前述のストレス指標と被験者のBMI,主観申告との間の相関関係を求めた結果,BMIが高い人ほど,きつさを自覚していないものの,実はストレスが生じていることがわかった。以上述べたように,おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
下肢被服圧測定器の開発:平成25年の研究Iでは,選択したセンサーを更に加工し,液圧平衡方式による被服圧測定装置から得られる値に近いセンサー作りを目指す。また,ヒトの粘弾性の特性を測定するための簡易で安価な方法を検討し,ここで得られた値をもとに,ヒトの下肢の粘弾性特性を擬似して調節したシリコンゴムを圧測定予定部位に流し込み,擬似の下肢モデルを作る予定である。 圧の有効利用の適正圧値の把握:研究IIとして,前年度に主観的圧の適正範囲を明らかにしたので,25年度では前年度作成した実験系を用いて,R-R間隔のゆらぎを含めた,自律神経系の応答を測定して,ヒトに加わる負荷を数値化する。これと着圧の有無による下肢の容積の変化を比較しながら,効果的な下肢の圧迫値を明らかにする。前年度,圧感覚は被覆面積によって変化することが明らかとなったので,その影響も含めて,圧の有効利用範囲を決定する。 判定プログラム作り:研究IIIとして,平成25年度に決定した圧許容範囲を基準として,市販されている下肢衣料がヒトに適した圧範囲となるか否か判定するプログラムを作成する。例えば靴下などへの不満は①履きにくさ,②跡が残る,③足先が冷える,③しびれや痛み,④締め付けが不快,などが主な項目である。そこでこれら項目に対応する裏付けデータを組み込む予定である。なお,研究IIIの進行状況が遅れた場合は,平成26年度の続行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)