2012 Fiscal Year Research-status Report
拠点性を備えた子どもの居場所の成立条件ー異年齢遊び集団形成に着目してー
Project/Area Number |
24500927
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小伊藤 亜希子 大阪市立大学, 生活科学研究科, 准教授 (90257840)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 子ども / 異年齢遊び集団 / 拠点性 |
Research Abstract |
1)未就学~小学生の足下の遊び場の役割に関する調査: 活発な集合住宅開発により子ども数が急増している都市周辺地域の1つである大阪府吹田市南山田小学校区を対象とし、小学生の戸外遊び、及び未就学時の親子の戸外遊びにおける、足下にある遊び場(集合住宅の中庭・提供公園と家の前の道)の役割を検証することを目的とした調査を実施した。 小学生の遊び行動から、ほとんどの子どもは歩いて5分以内の遊び場で遊んでおり歩いて10分以上の遊び場では遊んでいないこと、特に集合住宅の中庭や提供公園、戸建て住宅の場合は家の前の道は、そうした住まいの足下にある遊び場として大変有効であることが確認された。また歩いて10分以内に遊び場がない子どもは外で遊ばない傾向も確認され、現代の子どもが外遊びをするためには、親の目の届く範囲に遊び場がある事が重要であることが明らかになった。同様に、未就学時の親子の外遊び促進にとっても、住まいの足下にある遊び場は大変有効であり、またそうした遊び場の有無は、初めて子どもだけで外遊びに出す時期にも影響を与えていることも明らかにした。一方で、集合住宅の中庭はもちろん、一般に公開されている提供公園でさえも、利用しているのはその集合住宅に居住する子どもに留まっていたことから、遊び場整備を提供公園だけに頼るのでは不十分であることも指摘し、遊び場配置への知見を得た。 2)少年団活動のプレ調査 小学生から中学生を対象にして各地で展開されている少年団活動における異年齢交流に関する調査を実施した。卒団した子どもが指導員になっていく連続性の下、指導員を含めた異年齢集団が形成され、それにより決まったプログラムを持たずに子どもたちが主体的に遊ぶことが重視されていることが明らかになった。調査を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
未就学~小学生の足下の遊び場の役割に関する調査を予定通り行った。交通事故や犯罪に巻き込まれることへの不安から、子どもだけで戸外で遊ぶことが難しくなっている状況がある中、戸外の遊び場をどのように配置するのかが問われている。本研究は、近年の子どもの遊び行動から、子どもの外遊びを誘発するには、歩いて5分以内に行けて親の目の届く遊び場が必要であること、マンションの中庭、提供公園、家の前の道がその役割を果たしていることを明らかにするとともに、その限界性も指摘した。調査を担当した大学院生が、その成果を、H25年度こども環境学会大会の修士論文発表会にて発表した。 また、地域における異年齢交流のある居場所に関する事例として少年団活動を取り上げ、その実態を把握した。24年度は調査準備を始める計画であったが、おおよその実態を把握することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では子どもの発達段階ごとに、3つの活動拠点として、A)集合住宅内広場等<幼児 >、B)学童保育所<小学校低学年>、C)少年団活動<小学校高学年~中学生>を取り上げている。本年度においては、c)の研究を継続するとともに、B)の研究をスタートする。 C)少年団の調査を継続実施する。京都市の少年団を主に対象として、異年齢集団に基づく少年団活動が、地域においていかに子どもの居場所を形成しているかを、子ども、及び指導員アンケー トにより検証する。 B)地方都市を対象に、拠点性を有する学童保育所に関する調査を実施する。放課後、学童保育を利用する子どもたちにとって、学童保育所を拠点として、いかに地域に活動を広げられるかが重要である。これまで都市部の学童保育の調査をいくつか実施してきたが、地方都市においては、学童保育の規模も比較的小規模であること、地域に遊び場が豊かにあるなどの有利な条件があることから、拠点性を有する学童保育の可能性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
109円のわずかな残高があるので、次年度予算に繰り入れて使用する予定である。
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Research Products
(2 results)