2013 Fiscal Year Research-status Report
近世・近代フランスの服装規範に見られるジェンダー観
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24500928
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
内村 理奈 跡見学園女子大学, マネジメント学部, 准教授 (00401597)
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Keywords | フランス / 礼儀作法 / エチケット / 女性 / ジェンダー / モード / 規範 / 喪服 |
Research Abstract |
平成25年度は昨年度の実施状況報告書に記した「今後の研究の推進方策」と、当初からの研究計画にしたがい、本研究遂行のための、基礎作業を引き続き進めるとともに、いくつかの研究成果を生むことができた。まず、8月13日から8月23日にかけて、フランス国立図書館に資料収集のために出張し、昨年度に引き続き、主に19世紀の作法書に関するデータ収集を進めた。精力的な収集をおこなったが、19世紀の作法書は膨大な数におよぶため、すべてを収集しきれてはいない。しかし、主だった婦人向け作法書を集めることができた。残されたものについて継続的な調査が必要である。本年度は博士論文の成果を刊行することができた。『モードの身体史:近世フランスの服飾にみる清潔・ふるまい・逸脱の文化』(悠書館、平成25年10月31日刊行、全348頁)である。また、当初の研究計画にかかげていた、24年度中に発表する予定であった論文については、昨年度より出版計画がもちあがっており、平成26年度中に、徳井淑子編著『ファッションで読むフランス』(NTT出版より刊行予定)として出版される予定である。私は第4章「エチケットは語る:近世・近代フランスのモードと規範(コード)」を担当し、脱稿したところである。さらに、作法書研究の一貫で進めていた喪服研究についても、これに関する研究書の出版計画が進んでおり(増田美子編著)、タイトルは未定であるが、平成26年度中に共著として出版される予定である。第2章第3節「ヨーロッパにおける喪服の文化:18世紀フランスから現代カトリックにおける葬礼まで」を担当し、脱稿したところである。これら刊行予定の共著書の内容は、いずれも、本研究において得られた研究成果が反映されている。また、平成25年度後半から、京都服飾文化研究財団において実物資料(服飾遺品)に関する調査を平行してはじめたところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は学会における研究発表をおこなうことができなかった。単著をはじめとする出版準備に多くの時間を割き、学会発表の準備をする余裕がなかったことと、学内委員会や学会理事の仕事で多忙を極めてしまったからである。また、依然として、図像資料の収集が遅れをとっており、最終年度には、図像資料収集(実物遺品調査も含めて)を国内外問わず、精力的に行いたいと思う。しかし、本研究に付随して、来年度中に、2冊の共著を出版する予定が進められているのは、大きな成果であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は最終年度であり、未収集の図像資料を中心とする資料収集は急がねばならない。さらに、収集だけではなく、データ整理とデータ解読に多くの力を注ぎたい。まだ収集が不十分である19世紀の作法書と図像資料については、夏季にフランス国立図書館に資料収集のための海外出張を行う必要がある。また、平成25年度後半からはじめた、京都服飾文化研究財団における実物資料調査も、あわせておこないたい。さらに、現在進んでいる2共著(『ファッションで読むフランス』(NTT出版)と『(仮)喪服の文化』)は確実に刊行させたい。また、もう1件単著の計画があり、17世紀の紳士の礼儀作法と服飾との関係を論じるものであるが(『リボンの紳士』(NTT出版))、この執筆を平成26年度後半には加速させたいと考えている。また学会発表としては、8月に国際服飾学術会議が予定されているので、ポスター発表を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会研究発表をおこなわなかったために、大会参加費、および学会出張費が発生しなかったためである。 今年度は国内ではあるが、国際学術会議がおこなわれるので、その登録料、参加費等が生じる予定である。さらに、国際会議発表のための翻訳料も発生する。また可能であれば、学会誌の投稿もおこないたい。それによって、投稿料が発生することになる。
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Research Products
(1 results)