2013 Fiscal Year Research-status Report
生活の場として知的障害者を支援する住まい環境の研究
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24500930
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
定行 まり子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (80235308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 彼路子 小山工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60583523)
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Keywords | 知的障がい / 精神障がい / 障がい者支援施設 / 就労施設 / ノーマライゼーション / パーソナルスペース |
Research Abstract |
1.先駆的な障がい児者支援を行っている茨城県結城市の「社会福祉法人希望会」を継続的に調査している。本年度は同法人が運営する児童発達支援事業「あすなろ教室」、学童保育「どんぐり教室」、福祉サービス事業所「あすなろ園」を調査した。 ①「あすなろ教室」は、就園就学前の療育指導を行っている。障がいを受容できず将来への不安を抱えた保護者の孤立と情報を得にくい状況を防ぎ、地域の統合保育への移行を促している。また、地域の保育園の保育士への教育、地域の施設への障がい児の情報発信と専門家による指導の場を提供している。個別指導では注意が散漫とならないよう、最小の空間と最小の人数であることが重要であり、児童と保護者が一つの単位となってパーソナルスペースを形成している。 ②「どんぐり教室」を対象にヒアリング調査から施設の方針と建築面での評価点や問題点を分析した。また、参与調査から子どもの特徴や空間や設備の使われ方を明らかにし、個々の行動と時系列に見た全体の動き方の分析を行い、障がい児の居場所となるスペースが必要でありコーナーやラグがその役割を果たすこと、子どもへの刺激となる設備が障がい児の発達において重要であることが明らかになった。 ③「あすなろ園」を調査し、事業所の変遷や拡張していった経緯を調査し、利用者のニーズと地域での自立生活を確立について分析を行った。 2.俯瞰的に見るために関東地方の学童保育施設を対象とした「アンケート調査」を行った。学童保育施設の6割が障がい児を受け入れているにも関わらず、実施形態によって障がい児のための設備の有無が大きく異なり、障がい児のための設備が十分とは言えないことが分かった。学童保育施設は単独で成り立つわけではなく、自治体など運営主体と学童保育施設側の連携があって成り立つことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
関東地方の学童保育施設を対象としたアンケート調査、「社会福祉法人希望会」の「児童発達支援事業あすなろ教室」や学童保育「どんぐり教室」における現地での観察調査など、当初の目標に沿った調査・成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
障がいのある児童が就園・就学している保育園・幼稚園・特別養護学校を中心に調査やヒアリング調査、また、その地域での行政などの機関との連携がどのようになっているかを調査し、関東地域の保育園・幼稚園・こども園に対し、障がいのある児童に関するアンケート調査を実施する予定である。 また、継続的に調査をしている「児童発達支援事業あすなろ教室」から地域の保育園・幼稚園へ就園していった児童についても、その後の児童の生活の様子や保護者のヒアリング調査から、生活、支援などから、どのような住環境が必要になってくるのかを研究する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度初めに視察調査スケジュールを再検討した結果、今年度の調査は比較的近郊の施設を対象とし、来年度に宿泊を伴う遠方の施設の調査をおこなうこととした。そのため、それに関連した旅費、調査のアレンジを依頼する予定の研究協力者への謝礼が残額として生じたもの。 次年度は、今年度計画したスケジュールに基づいて視察調査を実施し、上記残額を使用する。
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