2012 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な郊外住宅地居住のための地域居住様式の構築に関する研究
Project/Area Number |
24500931
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
中村 久美 京都ノートルダム女子大学, 生活福祉文化学部, 教授 (80240860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 直哉 京都ノートルダム女子大学, 心理学部, 准教授 (00350968)
田中 みさ子 大阪産業大学, 人間環境学部, 准教授 (30340615)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Residential suburb / living attitude / dwelling style |
Research Abstract |
これまで断片的に取り上げられてきた居住地生活の諸側面を総合し、地域居住様式という統合的概念を設定、新たな生活様式の構築を考える。初年度はまず、郊外住宅地住民の地域との関わりや生活態度を明らかにする目的で住民調査を行った。具体的には、宇治市の郊外住宅地(2地区から成る)を対象に、住まいや世帯の状況をみる世帯票、および18歳以上の個人の意識や考え方を問う個人票の2種類の質問紙を用い、質問紙調査を実施した。調査期日は平成24年5月および7月。世帯票346、個人票473の有効票を得た。調査結果以下の通り。 住民の1日の生活時間をみると、女性や退職者など、自宅生活を中心に地域や地域外でも多少の活動を持つ住民が多い。現状に対し、住民の多くは地域生活の時間を拡充する方向を望んでいる。地域で暮らすうえでの生活態度をみると、町並みや緑などのハード環境を、良好な地域環境の維持に寄与しようという住民は多い。ゴミの軽減やリサイクル、防災や防犯に関する地域の取組や公園整備に対し協力的態度を有する住民も少なくない。子供の見守りや小学校への関わり、高齢者のケアなど、地域福祉や教育分野に関心や注意を向ける住民は相対的には少ないものの、15~30%程度は存在する。総じて居住地生活の諸側面に関与しつつ暮らす住民が多い。特に70代住民の意識が高い。さらに地域への役割意識をみると、ハード環境の整備や防災、防犯に、高齢者や子ども、子育て世帯への支援的取組について、住民自ら関わることに前向きな住民が一定数存在する。さらに半数以上が、何らかの地域組織、活動への参加意欲を示した。まちづくりのように地域居住に関わる総合的な取組については、どの年代についても一定の参加希望がある。多様な住民意欲をうまく活用した地域運営が考えられると同時に、住民の役割意識や地域参画意欲の母体となる生活態度を養成する教育の検討が課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
持続可能な梗概住宅地運営に住民の参画が必要であり、住民自身の居住地生活にとっても地域との関わりは欠かせない。このような地域と関わる生活態度や居住地生活の諸側面に関わる生活態度をもって暮らす「地域居住様式」の確立を目指す研究として、まず現状の郊外住宅地における住民の居住地生活における生活態度や生活意識を把握するための調査を行うことが、初年度の目標であった。調査対象住宅地の選定や、調査手順の調整について時間を要したものの、結果的に個人票、世帯票から成る調査を実施、分析の中心となる個人票については473の有効サンプルを得ることができた。また調査に先立って、2地区の自治会長等からの詳細なヒアリングにより、地域や地域住民に関する情報を得ることができた。建築学会、家政学会の25年度の大会において本調査結果の発表を申し込み、それぞれ研究発表梗概集原稿、および抄録を提出した。よって概ね計画通りにすすんでいると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度調査対象地区の調査後の動向を追うとともに、本研究の最終的な結論、提案としての「住教育」の必要性とそのあり方を探るために新たな調査を企画、実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度の調査結果に関する研究発表のための学会参加として旅費を、さらに24年度調査のさらなる分析のための統計解析ソフト等の購入(物件費)、および新規調査に関わるアルバイト料、交通費、調査票製作費等で使う予定である。
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Research Products
(4 results)