2014 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な郊外住宅地居住のための地域居住様式の構築に関する研究
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24500931
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
中村 久美 京都ノートルダム女子大学, 生活福祉文化学部, 教授 (80240860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 直哉 京都ノートルダム女子大学, 心理学部, 教授 (00350968)
田中 みさ子 大阪産業大学, 人間環境学部, 准教授 (30340615)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 郊外住宅地 / 持続可能 / 住生活 / まちづくり / 生活態度 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、持続可能な郊外住宅地居住のために必要な住民の地域参画意欲は、地域に貢献的、協力的な生活態度や地域役割意識と地域への帰属性、すなわち“地域に関わって住む”住み方によって形成されることを明らかにした。平成26年度は、住民主体のまちづくり計画を策定した、いわば持続可能な地域居住のための住民主体の取組が実践できつつある住宅地居住者の、“地域に関わって住む”住み方を明らかにし、その形成のかぎを探ることを目的に新たな調査を実施した。。 具体的にはまちづくり協議会をたちあげ、まちづくり計画を策定した、宇治市郊外住宅地N地区を対象に、自治会からの了承を得て質問紙調査(平成26年7月~8月)をポスティング、郵送返送の方法により実施した。配票数785、有効回収数299、有効回収率38.1%である。調査結果の概要は以下の通り。 調査対象住宅地居住者の地域組織や活動への参加意欲は、一般の郊外住宅地居住者に比べ確かに高い。生活態度や地域役割意識は大差ないが、帰属性(地域への愛着、居住継続意識)に差がみられる。開発年次の違いによる居住年数の差も影響しているとみられるが、本対象住宅地のもつ条件として、分譲時に開発者と入居者の間で締結された特約事項(建物は2階建て以下の戸建住宅に限定し看板等の設置を禁止)が注目される。入居時に特約事項を高く評価していた居住者は、まちづくり計画の協議に積極的に関わると同時に、生活態度や地域役割意識が高く、地域への帰属性も高い。特約事項については、入居時は無関心だった居住者がまちづくり協議の過程で評価を高めていることも明らかになった。良好な住宅地の形成、維持に大きく寄与すると考えられる特約事項の価値を地域で共有すること、その価値を途中入居者も含めて継承することの重要性が指摘できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
持続可能な郊外住宅地居住のあり方について、住民の生活態度や地域役割意識から追求する目的の一連の調査研究のうち、一般的な郊外住宅地、および持続的な住宅地形成に向けて主体的な取り組みに踏み出せた住宅地、それぞれ対象とした調査を実施することができ、研究目的を果たしつつあるが、研究成果の公表の段階で予定外の状況により、公表作業が少々滞った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度調査の結果の公表として、建築学会(9月)、および家政学会(5月)における口頭発表をしたのち、建築学会への審査論文投稿を目指す。さらに調査協力者への研究報告を兼ね、その後の住宅地としての住民の取組に関するインタヴューを実施し、今後の研究課題の示唆を得る
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Causes of Carryover |
平成24年度調査分の論文化作業が、学会審査の遅れなどもあり、計画通りに進まず、したがって平成26年度調査の成果公表作業も滞ってしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成24年度調査の論文投稿料を5月掲載後納付したのち、平成26年度調査の成果公表として、盛岡市での家政学会大会口頭発表、厚木市での建築学会大会口頭発表を行う。 その後、平成26年度調査協力者への報告書作成と現地での追加インタヴューなどを行う。
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Research Products
(2 results)