2012 Fiscal Year Research-status Report
超音波キャビテーションによる物理化学的作用を利用した洗浄法の検討
Project/Area Number |
24500933
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
田川 由美子 大阪産業大学, 経営学部, 教授 (40207808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 景子 奈良女子大学, その他部局等, 教授 (30243356)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超音波洗浄 / キャビテーション / 洗浄性評価法 / 画像処理 |
Research Abstract |
初年度は,38kHzおよび130kHzの周波数変調式汎用超音波洗浄機を用いて,NaCl水溶液,NaOH水溶液,SDS水溶液の液中で人工汚染布(カーボンブラック(CB),オレイン酸(OA))の超音波洗浄を行った.その結果,130kHz機では,いずれの汚れとも洗浄率が非常に低く,38kHz機は低出力で高い洗浄率が得られた.したがって,布洗浄には低周波数域の38kHzの方が適していることがわかった. 次に,超音波を底面,側面から照射できる実験式超音波洗浄器を連携研究者(本多電子株式会社:佐藤正典)と共同設計し,作製した(本田電子株式会社).計画段階では,38kHzと130kHzの2種類の振動子を取り付ける予定であったが,先の実験結果から底面,側面とも周波数を38kHzとした.超音波音圧計を用いて音圧を計測し,出力を変えて人工汚染布の洗浄実験を行って操作性を調べたところ,正常に作動していることが確認された.標準となる洗浄条件(出力,洗浄時間,洗浄位置 など)を設定し,NaCl水溶液,NaOH水溶液,SDS水溶液の液中で人工汚染布(CB,OA,JIS湿式汚染布)の超音波洗浄を行った.洗浄率は表面反射率法,洗浄ムラは画像解析法で行った.その結果,SDS水溶液中では洗浄効果があったが,NaCl水溶液,NaOH水溶液中ではいずれの汚れとも洗浄率が低かった.SDS水溶液中で超音波の照射方向を変えて洗浄実験を行ったところ,側面より底面から超音波照射した方が,いずれの汚れとも洗浄率がやや高く,底面と側面から同時照射した場合,CBでは高い洗浄率が得られ,OAでは洗浄ムラがより低減することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験室の新設,実験環境(装置など)の整備,および実験用超音波洗浄器(備品申請)の作製に,当初計画より多少の時間を要したため.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,実験用超音波洗浄器を用いて洗浄実験を進め,洗浄ムラ解の要因について詳しく調べる予定である.まず,超音波場を知るため,アルミ泊法(アルミ箔の侵食状態(エロ-ジョン)の観察),およびルミノール液を用いて洗浄槽内のキャビテーション発生とキャビテーション強度を測定し,洗浄性との関係について調べる.また,洗浄ムラの画像解析法について再検討する.次に,洗浄基質―汚れ物質―洗浄液から成るモデル洗浄系を用いて各種洗浄液中で洗浄実験を行う.洗浄基質には,市販のフィルム(ポリエステルなど)を用い,汚れ物質には,固体粒子汚れにはカーボンブラック粒子,油汚れにはオレイン酸またはステアリン酸を使用する.さらに,洗浄液を攪拌しながら超音波照射した場合の,フィルムおよび布の洗浄性への攪拌羽の種類,攪拌速度,超音波照射方向の影響をみる.最終年度には,超音波キャビテーションを利用して布帛を洗浄する際の最適条件を提案する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度は国際学会での発表を見送ったが,次年度はスペイン・バルセロナで行われるThe 9th World Surfactant Congress and Business Convention (CESIO) 2013で研究成果を発表するため,参加費および旅費を支出する.また,洗浄液攪拌のための装置(攪拌羽など),および現有の水晶振動子システムの調整費用を支出する.
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