2013 Fiscal Year Research-status Report
超高分子量ポリエチレン繊維への染着座席を持つ薬剤の固定化
Project/Area Number |
24500935
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
榎本 一郎 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 多摩テクノプラザ繊維・化学グループ, 主任研究員 (10462970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 勲 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第一部機械技術グループ, 副主任研究員 (20420953)
添田 心 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部地域技術支援部生活技術開発セクター, 主任研究員 (60462975)
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Keywords | 染色加工 / 繊維化学 / 表面処理 |
Research Abstract |
本年度は、プラズマ処理によるポリエチレンへのポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)とビニルスルホン酸(VSA)の混合物の固定化に加えて、アクリル酸をモノマとした放射線グラフト重合を中心に行った。放射線処理では低エネルギー電子線及び60コバルトガンマ線を利用した。電子線照射は加速電圧それぞれ100kV及び200kVで、電流3.0mA、30kGyで行った。ポリエチレンへの放射線照射により初期に生成するラジカルはアルキルラジカル、アリルラジカルが主体であるが、これらのラジカルは常温及び大気環境下で減衰するため、グラフト重合には過酸化物から生成する過酸化ラジカルを利用した。電子線照射後、2日間室温で大気中に保管した試料を使い、アクリル酸水溶液中でグラフト重合を行ったところ、僅かではあるがグラフト物が生成した。このグラフト化ポリエチレンをカチオン染料で染色したところ、プラズマ処理の試料より色濃く染色できた。しかし濃色には至っていないため、ガンマ線処理で同様な操作を行った。線量は電子線と同様、30kGyとした。ガンマ線照射後10日間、室温で大気中に保管した試料を使用したとき、グラフト率が94.9%(繊維状)及び560%(フィルム状)となった。これらをカチオン染料で染色したところ、十分な濃色が得られた。しかしながら、繊維状及びフィルム状ともに硬度が増し、繊維及びフィルムの柔らかさを損ねた。放射線グラフト重合に関しては、今後グラフト率の調整と反応性モノマの選択を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プラズマ処理によるポリエチレンへの樹脂類の固定化は極表面層のみに止まり、本研究で目的とする染色では僅かに着色する程度である。このため、電子線及びガンマ線による放射線グラフト重合を行っている。ここではホモポリマーの生成抑制や利用効率の向上が課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、プラズマ処理の条件を変えてビニル系モノマの固定化について検討するとともに、放射線グラフト重合での効率化についても検討する。 加えて、フッ素処理による表面処理も効果的なことから、フッ素混合ガスによりスルホン酸基等、染着座席を持つ樹脂類の固定化を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた旅費(海外発表)を他の外部資金及び所内経費から支出したため。 次年度の旅費および消耗品費として使用する計画である。
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