2013 Fiscal Year Research-status Report
茹で調理の環境負荷低減へむけたデンプン食品の水分移動に及ぼす流体挙動の解析
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24500939
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| Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
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Principal Investigator |
福岡 美香 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (10240318)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 昇 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (20134009)
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| Keywords | 澱粉食品 / 茹で調理 / 水分移動 / 流れ |
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| Research Abstract |
当該年度においては、前年度に実施した流路システムに加えて、鍋内での茹で調理と、さらに鍋内にビーカーを設置して閉鎖システムを作り、この中での茹で調理実験を行った。
業務用ガスコンロの内外輪をいずれも全出力にし、ステンレス寸胴鍋内で麺を茹でた場合、麺は大きく移動するが、鍋内に設定した閉鎖システム内に麺を投入した場合、あらゆる茹で時間において麺は動かずに静置している様子が観察できた。平均含水率の測定結果から、閉鎖システム内の麺のほうが平均含水率は高くなり、その差は茹で時間の進行にともなって大きくなることが示された。また、MRIを用いた麺内部の水分分布の比較では、両者は顕著な違いを示し、閉鎖システム内の麺は、麺中心部への水分移動が遅く、逆に表面部分の含水率が著しく高くなるという結果であった。鍋内において大きく移動しながら茹でられた麺は、表面における過度の含水率上昇は見られず内部への水分移動が速いことが顕著に示された。
偏光顕微鏡観察では、標準茹で時間において、通常の鍋内の茹で調理では糊化がほぼ完了しているのに対し、閉鎖システム内の場合には未糊化領域が残っていることが確認されたことから、麺の流動の有無は糊化領域に影響を与えることが明らかになった。染色画像の観察では、茹で時間の経過に伴い分散開始領域が麺の中心部へ移動する様子がわかるが、麺の流動がある場合、分散領域がより麺の中心部へ移動する様子が確認できた。
一方、茹で時間の経過に伴い試料の固形分溶出は増加するが、麺の流動がある場合のほうが、固形分溶出が大きいことが顕著に示された。
以上の結果から、流動がない状態での麺の茹で調理は、糊化後期過程に形成された分散領域から高分子が溶出することなく、高い保水能力が保たれていることから、内部への水分移動が遅延することが顕著に示された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初、高分子の分散溶出量の特定を行うことを目標に据えていたが、より実際の茹で調理を想定した系で実験を行うことで、流れが及ぼす麺内部への水分移動の影響を明確にとらえることができた。初年度に実施した流れの状態（流速）を規定した流路システムでの実験に対して、麺流動の有無という観点から実験を行ったことで、吸水特性（平均含水率、水分分布）、糊化・分散分布さらに固形分溶出率において顕著な違いが得られたことから、予想している水分移動モデルの構築のための基盤が得られた。
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| Strategy for Future Research Activity |
25年度に行った鍋内調理の定量化、すなわち麺流動の数値化が必要となる。また鍋内の固体（麺）と流体（水）との割合は、鍋内の麺流動に影響を及ぼすことが予想されることから、麺―水の割合を変化させた茹で調理を実施して、評価することを目指す。鍋内におけるこれら結果と、流路システムで得られた結果から、本研究のポイントとなる水分移動のメカニズムをモデル化し、実際に茹で調理途上の麺内の水分移動を記述することを目指す。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
茹で実験の系を鍋内空間での調理実験にシフトさせ、本年度はこれを集中的に実施したため、当初予定していた分析消耗品費用が残となった。次年度にこれを持越し、分析実験における消耗品費として使用したい。
各消耗品の他、流体解析ソフトの更新費用が必要となる。また、２５年度と同様に、国際会議における発表と論文投稿にかかわるリライト料など、研究成果公開に関する費用を搬出する予定である。
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Research Products
(1 results)
