2013 Fiscal Year Research-status Report
パンの世界地図ー酵母と乳酸菌の遺伝子解析からみるパンの多様性ー
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24500940
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
長野 宏子 岐阜大学, (連合)農学研究科(研究院), 特別協力研究員 (40074984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 徹 岐阜大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20235972)
村山 美穂 京都大学, 学内共同利用施設等, 教授 (60293552)
井上 英治 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70527895)
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Keywords | パン / 発酵食品 / 微生物 / パン酵母 |
Research Abstract |
世界各地で伝統的に作られているパン中の微生物は多種である。今回は、世界各地から採集した「パンの欠片」に存在するパン酵母と保存株Saccharomyces cerevisiaeとの遺伝学的解析の可能性を探ることを目的としている。 パン欠片のS. cerevisiaの多型形系統樹から、調理加熱法(焼く、揚げる、蒸す)により異なるか?地理的な要因によるのか?パンの材料によるのか?または、人々の移住によるのか?探ることも行うこととした。 方法:1)研究対象Saccharomyces cerevisiaは、NBRCから食由来のものを入手した。パンの欠片は1990年代から現在まで世界各地から入手した200~300欠片である。2)S. cerevisiae保存菌株、パン欠片からのDNeasy Blood & Tissue Kit(QIAGEN)を用い、微生物のDNA抽出を行った。3)S. cerevisiaeのマイクロサテライト6領域をPCR後、その産物の長さをDNAシークエンサーで測定した。4)マイクロサテライト6領域のアリル頻度のデータから近隣接合法により、系統樹を作成した。 結果及び考察:1)S. cerevisiae保存菌株、市販・天然酵母、特に石窯で300℃近くで焼成したパンやパン欠片からのDNA抽出は可能であった。しかし炭化したものからはDNA抽出はできなかった。2)マイクロサテライト解析後、系統樹を作成した結果、日本の市販天然酵母と日本の酒酵母協会1号や7号は近い位置を示し、地理的要因が大きいことが明らかになった。3)世界中のパン欠片のアリル頻度の遺伝子型からアジア、ヨーロッパ、多型の少ない3つの系統樹を形成した。5)ヨーロッパグループに、ラオスやベトナムやガーナのパンが入っており、人々の動きも反映された。試料を増やし検証を続ける予定である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界のパン欠片の収集及び DNA抽出は、順調に続けている。また、食由来のSaccharomyces cerevisiaは、NBRCから食由来のものを入手し生菌と欠片の死菌との比較を行うことができた。地理的な影響が明らかになっているので年代的な要因を入れてさらに検討する予定である。 おおむね順調に進むもう一つの理由は、研究グループの協力体制が整っていることである。
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Strategy for Future Research Activity |
世界のパン欠片による2年間の結果をふまえ、収集している試料を可能な限り多く分析する。分析の観点は以下の通りです。 1)地理的考察(世界中の分布) 2)時代の変化(1990年代、2000年代、2010年以降) 3)調理法(焼く:オーブンやタンドール、蒸す: 揚げる: 等) 4)食由来のSaccharomyces cerevisiaの保存菌株との比較 5)地理的分布の中に民族の食 等との関わりを深める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請1年目は節約と消耗品を多く購入した。そのため今年度は比較的消耗品を押さえることができた。 最終年度のためDNA抽出試薬や分析および投稿料として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)