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2013 Fiscal Year Research-status Report

伝統的な日本食の再評価と伝承プログラムの構築

Research Project

Project/Area Number 24500943
Research InstitutionShiga University

Principal Investigator

久保 加織  滋賀大学, 教育学部, 教授 (10190836)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 堀越 昌子  京都華頂大学, その他部局等, 教授 (30024970)
Keywords伝統食 / 栄養価 / 嗜好性 / 機能性 / 発酵 / 食塩摂取 / 食農教育 / 食意識
Research Abstract

日本の伝統的な食事の栄養価や機能性、嗜好性を明らかにして伝承につなげるために、調査及び分析を行った。
まず、滋賀県内の10地域において、伝統的な生活様式と食事に関する聞き取り調査を実施した。
次に、滋賀県の伝統野菜と特産野菜のDPPHラジカル捕捉活性の測定とアスコルビン酸とポリフェノールを定量した。分析した野菜は、杉谷なすび、杉谷とうがらし、尾上菜、伊吹大根、日野菜で、比較対象として一般野菜のナス、シシトウ、シロナ、ダイコンについても測定した。その結果、DPPHラジカル捕捉活性とアスコルビン酸量、あるいはポリフェノール量の間にはr=0.789(p<0.001)、あるいはr=0.589(p<0.001)の相関関係がそれぞれ認められた。今回分析した中では、日野菜の抗酸化性が最も高いことが明らかになった。
また、滋賀県の伝統食であるふなずしの製造工程において、飯漬けで用いる飯の量がふなずしの嗜好性にどのような影響を及ぼすかを成分分析と官能評価を実施して検討した。その結果、飯漬けに用いる飯量が多いと乳酸発酵がはやく進み、熟成期間が長くなるにつれて酸味と複雑な風味が強いふなずしになることが明らかになった。
さらに、代表的な和風料理であるうどんの摂食による食塩摂取量について官能評価をもとにした実測値を用いて評価した。塩分を気にするかどうかと食塩摂取量の間には関係がみられなかったが、かけうどんの汁を飲まないように制限してうどんを食した場合、自由に食した場合に比べ、食塩摂取量は低くなった(p<0.001)。うどんの食べ方を気にするだけで塩分摂取を制限できる可能性が示唆された。
最後に、伝統食伝承を目的とした食育プログラムの作成のための基礎的資料とするために、学校教育現場で1998年から2011年までに実施された食農教育のデータを整理するとともに、農産物直売所の実態調査、および子育て世代の食意識に対する調査を実施した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

伝統食に関わる調査、伝統的な食事、あるいは食品の評価は、文献調査に加えて分析を実施したが、分析を多種の食品、食事に広げる必要がある。伝統食の現代の生活様式に合わせたアレンジの試みは、まだ若干の検討を進めたにとどまっており、次年度に本格的に検討する必要がある。伝統食の伝承を目的とした食育プログラム作成に向けた基礎資料を得るために、調査を実施したが、実際にプログラムを作成したうえでの実践、評価に向けて、今後検討を進める必要がある。

Strategy for Future Research Activity

前年度に引き続き、日本の伝統的な食事の栄養価や機能性、嗜好性を明らかにして伝承につなげるために、調査及び分析を行い、食育プログラムを作成して食育の実践を行い、評価する。
まず、これまでの聞き取り調査を踏まえ、日本における滋賀県地域の位置づけについて整理する。
次に、前年度に実施した滋賀県の伝統野菜と特産野菜のDPPHラジカル捕捉活性の測定とアスコルビン酸とポリフェノールの定量をすすめ、伝統野菜や特産野菜の価値を整理する。また、これらの野菜を用いた代表的な食事についても上記分析を実施するとともに官能評価を実施し、現代の生活様式に合わせた伝統野菜、特産野菜の利用方法を検討する。
さらに、調査や実験で得られたデータをもとに、伝統食伝承を目的とした食育プログラムを作成し、食育を実践する。プログラム作成に当たっては、これまでの学校教育現場での取り組みを評価して参考にし、前年度の調査で得られた各年代の食意識の特徴を踏まえて検討する。また、食育プログラムでも利用できる滋賀の伝統的な食事や食品の栄養価、機能性、嗜好性について理解しやすく示した教材を作成する。プログラムの実践後は、質問紙あるいは聞き取り調査によって評価を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

滋賀の伝統野菜及び特産野菜の分析のための試料は季節ごとに入手できるものが異なる。昨年の前半期は、分析方法の確立に時間がかかり、伝統野菜及び特産野菜の分析までに至らなかった。そのため、今年度前半期に昨年度分析できなかった試料については分析をせざるを得なかった。
試料として滋賀の伝統野菜及び特産野菜を購入し、さらにその分析のための試薬、器具を購入する。

  • Research Products

    (6 results)

All 2013 Other

All Journal Article (1 results) Presentation (5 results)

  • [Journal Article] 沖島漁業の変遷と淡水魚利用の変化2013

    • Author(s)
      堀越昌子、小南沙也子
    • Journal Title

      滋賀の食事文化

      Volume: 22 Pages: 40-48

  • [Presentation] 滋賀県田上地方に伝わる菜の花黄金漬けの成分と嗜好性

    • Author(s)
      七里あや子、井上瑞穂、久保加織
    • Organizer
      日本調理科学会平成25年度大会
    • Place of Presentation
      奈良女子大学
  • [Presentation] 滋賀県田上地方に伝わる菜の花新漬けの成分と嗜好性に関する研究

    • Author(s)
      井上瑞穂、七里あや子、久保加織
    • Organizer
      日本調理科学会平成25年度大会
    • Place of Presentation
      奈良女子大学
  • [Presentation] ふなずしの熟成過程における風味変化に及ぼす成分の影響

    • Author(s)
      小寺真実、丹羽悠、森沙織、磯部由香、真部真里子、久保加織
    • Organizer
      日本調理科学会平成25年度大会
    • Place of Presentation
      奈良女子大学
  • [Presentation] 滋賀の伝統的な料理を活用した食事バランスガイドの提案

    • Author(s)
      高橋ひとみ、中平真由巳、串岡慶子、久保加織
    • Organizer
      日本調理科学会平成25年度大会
    • Place of Presentation
      奈良女子大学
  • [Presentation] ふなずし飯漬け中の飯量が嗜好性に及ぼす影響

    • Author(s)
      小寺真実、森沙織、堀越昌子、久保加織
    • Organizer
      日本調理科学会近畿支部第40回研究発表会
    • Place of Presentation
      大阪市立大学

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Published: 2015-05-28  

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