2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500947
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
吉村 美紀 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (90240358)
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Keywords | 混合ゲル / 大豆たんぱく質 / 米粉 / 物性 / 動的粘弾性 |
Research Abstract |
たんぱく質と澱粉は食品中に多く含まれ食品ハイドロコロイドとしての役割を担い、食感改良のための素材、高齢者向け食品素材、メタボリックシンドローム予防効果をもつ食品素材として発展してきている。大豆たんぱく質およびペプチドの生体調節機能が注目され、大豆たんぱく質を利用した加工食品が多くみられ、大豆たんぱく質の濃度や加熱温度の影響を検討することは意義があると考える。 本研究では、大豆たんぱく質と米粉の混合比率を変えた試料調製を行い、加熱凝固の影響を動的粘弾性測定の時間依存性と周波数依存性より検討した。加熱温度により、大豆たんぱく質と米粉の混合系の貯蔵弾性率G'と損失弾性率G"の時間依存性は異なる挙動を示した。60℃加熱ではG">G'でゾルの挙動を示したが、70℃加熱で、G'>G"となり、澱粉の糊化温度とたんぱく質の変性温度の影響を受け、ゾルからゲルへの変化が推察された。80℃のときがゲル化進行が速く最も粘弾性は高くゲルの挙動を示した。また濃度により異なる挙動を示した。総多糖類濃度が6%では、低周波数側でG'とG"は同程度を示し、高周波数側でG'>G"を示した。総多糖類濃度9%ではG'>G"となり構造のある液体の挙動を示した。総多糖類濃度が同じで混合比率が異なる場合、大豆タンパク質の混合比率が高いほどゲル化開始時間が短く、ゲル化速度が増した。水分吸収量では米粉より大豆粉が多かったことから、大豆粉の混合比率が増すと大豆粉が水を多く吸収することで、実際の濃度が高くなることが推察された。実測値から30分間加熱後の推測値による規格化を行ったところ、加熱温度70℃の試料が80℃試料より安定したゲルであることが推察された。これらの結果は、大豆タンパク質と米粉混合系食品の食感改良が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の検討課題であった大豆タンパク質と米粉混合系の調製を行った。研究方法では、大豆たんぱく質と米粉の加熱凝固の影響について、動的粘弾性測定に加えて、示差走査熱量測定を行う予定であったが、動的粘弾性測定は実施完了したが、示差走査熱量計測定の結果にばらつきが見られ、総多糖類濃度の変更検討が必要となった。現在の実験系の総多糖類濃度を変更する必要があることから、達成度はやや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
大豆たんぱく質粉末が米粉粉末より水分吸収量が多いため、水分量が異なることの改善として、総多糖類濃度を6~9%の範囲で検討した。今後は、大豆たんぱく質と米粉の総多糖類濃度の幅を広げ、加熱による澱粉の糊化と老化の検討を行う。示差走査熱量測定を行い、発熱、吸熱曲線の観測によりたんぱく質の変性と澱粉の糊化による熱的挙動を調べる。次に、混合比率を変えた試料を低温下で貯蔵し、澱粉の老化過程を検討する。レオロジー測定および熱的挙動から、たんぱく質と澱粉の不可逆ゲルの相互分離あるいは相乗効果を推察する。まとめ結果の発表を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大豆タンパク質と米粉の混合系加熱凝固の影響について、示走走査熱量計による検討を行ったが、ばらつきが大きく、この項目による実験が完了しなかった。そのため、銀製密封容器の消耗品購入のための費用に若干の余りが生じた。 大豆タンパク質と米粉の混合系の総多糖類濃度の幅を広げ、加熱凝固と老化の影響について検討する。加熱によるゾルーゲル転移を示差走査熱量計により温度依存性を測定するので、銀製密封容器消耗品を購入する。引き続き、被験者を兵庫県立大学学生として咀嚼解析を行うため、筋電位関連消耗品を購入する。学会発表のための旅費として支出を予定している。
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