2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500949
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
佐藤 之紀 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (50226015)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水和 |
Research Abstract |
1.パラメータαの算出方法の改良 疎水性アミノ酸などでは高濃度水溶液の場合,-20℃に一度凍結させるため,溶質-溶媒に変化が生じ,白濁して溶質が析出してしまう。このような場合には,氷の融解温度が測定不能となる。そこで,蒸気圧法を用いて自作の測定器の作製を試みたところ,感度と安定性の点で引き続き検討を要することが示唆された。そこで,同時に露点法による水分活性測定を試みたところ,代表的な糖水溶液としてグルコース水溶液とスクロース水溶液の氷の融解温度から推定した水分活性と露点法で求めた水分活性を比較したところ,露点法では40℃で測定した水分活性が氷の融解温度での水分活性と近似する傾向を得た。 2.アミノ酸どおしのペプチド結合による水和数変化への影響 Gly,Gly-Gly,Gly-Gly-Glyをそれぞれ水溶液にして、Herkovits and Kelly (1973)に従って、水溶液の密度と粘度から水和数(水和パラメータh)を求めた。その結果,オリゴマーになると粘度B係数は増加し,水和パラメータhは大きくなった。さらに,粘度B係数の温度依存性から,Glyは糖とは異なり,温度上昇すると粘度B係数は増加することからwater-structure breakerと判断された。Glyがダイマーやトリマーとなると,その性質は保持されると思われたが,Glyほど明確な傾向を示さなくなった。 3.アミノ酸の立体異性体による水和数の変化 L型アミノ酸とD型アミノ酸のそれぞれの水和数を求めたところ、LとD型の立体構造の差がアミノ酸の水和数に若干影響していると思われる傾向が示されたが,今後さらに詳細に検討する必要があるとの結論に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蒸気圧法では十分な結果が得られないことが示唆され,露点法によるアプローチに変えたという変更点はあるが,おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
蒸気圧法によるアプローチを進めながら,酵素活性と水の構造化の関係を追跡するステップに入っている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
多くの研究者が褐変現象は単純に水分活性とは対応しないとの結論を得ている。そこで,水分活性以外に疎水性相互作用が褐変現象に関与しているというスペキュレーションをたて,褐変現象と疎水性相互作用の関連を探る。 1.酵素活性の迅速測定法の検討および褐変阻害の指標としての水和パラメータαの有効性 材料には本学の農場で生育したりんごを用い、申請者らが育てた環境既知の果実を収穫し、食品素材の生育段階から管理したりんごを用いる。実験の概要は、Cell Culture Dishに形状一定のりんご片を入れ、そこへ、水和パラメータ既知の共存低分子の水溶液を入れてりんごに浸す。一定時間後に、本研究費の備品に申請中のcolorimeterで測定値を得、それらの素データを解析する。 1)色差計によるL*a*b*の計測による酵素の反応速度定数の算出 反射型の色差計(初年度申請)を用いて、色の数値化により検討する。また、申請者らが提唱している糖の水和パラメータαと酵素活性速度定数との関わりを調べ、糖の水和パラメータαの食品科学的意義を明確にする。さらに,L*a*b*から適切な速度パラメータを検討する。 2)水和パラメータαと酵素の反応速度定数の比較 申請者ら、Food Hydrocolloids, 18, 527-534(2004)でリボースをはじめとする一連の糖のパラメータαが示されている。それらの値と酵素の反応速度定数の関係を図にする。 3)褐変時の分子間相互作用の変化 メイラード反応によって、糖とアミノ酸が結合し、その割合が大きければ、水分活性が高くなるはずである。すなわち、水分活性の変化で分子間相互作用の変化を簡易に追跡しようとした。
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Research Products
(2 results)