2014 Fiscal Year Research-status Report
氷温貯蔵により向上する果実・野菜類の甘味における多糖類フラクタンの関与
Project/Area Number |
24500957
|
Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
安藤 真美 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 准教授 (50234183)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 氷温 / フラクタン / 果物 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、「スイカ」および「りんご」などを主とした様々な果物を用いて氷温貯蔵を施した場合、特に「スイカ」において官能評価により甘さの評価が上昇した。その理由として、主要な遊離糖類以外にもフラクタンの分解物によるものと推察された。 そこで今年度は、おいしさだけでなく機能性面の検討として、低分子物質の増加による抗酸化能の変化を検討するため、試料植物の水溶性画分を分取し、ケミルミネッセンス法およびORAC法によるペルオキシルラジカル捕捉活性能を測定した。 さらに、低分子物質の増加に付随して増減すると思われる中間的な大きさの分子の挙動について分子量分画を行いそれらの抗酸化能を調べた。 まず、試験対象果物をエタノール可溶性および不溶性画分に分けた。この段階でそれぞれの画分に含まれる糖類の分子量の大きさは概ねエタノール可溶性<不溶性となる。次にエタノール可溶性画分を分画分子量1,000および10,000の限外ろ過によって分子量ごとの画分に分けた。これらの画分中の糖量を全糖分析法であるアンスロン-硫酸法により測定した。また、分子量1000以下の画分について、そこに含まれる単糖類および二糖類をHPLCにより定量した。 また、不溶性画分についてはその中に含まれる代表的多糖類であるペクチン・ヘミセルロース・セルロース・リグニンを分画し、それぞれを定量した。 結果として、「スイカ」において、抗酸化能は貯蔵期間が長いほど上昇する傾向を示した。さらに分子量画分の結果からは、貯蔵期間が長くなるほど低分子物質が増加する傾向がうかがわれ、抗酸化能の上昇との関連が推察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
氷温貯蔵による甘味増加および抗酸化能上昇の現象面は傾向として確認されたが、n数が少ないため、さらなる検証が必要である。 さらに、甘味増加や抗酸化能上昇のメカニズムについても検討が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
糖分画、および定量を貯蔵温度・貯蔵期間ごとに行い、多糖類が低分子化していく過程の詳細を明らかにする。これらの情報が得られることにより、氷温貯蔵がもたらす呈味性の変化の科学的根拠を得ることができる。 最終年度においては、それぞれの食材の糖類濃度を反映した溶液を作成したものについて官能評価を行い、その有効性を実証する。 なお、結果をとりまとめたものについては、国内および国外の学会にて発表する予定である。
|