2014 Fiscal Year Annual Research Report
カロテノイドの選択的吸収機構と生体利用性に関する研究
Project/Area Number |
24500962
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小竹 英一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品素材科学研究領域, 主任研究員 (20547236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 昭彦 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品素材科学研究領域, 上席研究員 (40353958)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カロテノイド / 腸管吸収 / グリセロ糖脂質 / 生体利用性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトには食品脂溶性機能成分カロテノイドに対する未知の選択的吸収・蓄積機構が存在し、機能性と密接に関わっていると考えられる。このような選択的吸収機構を解明し、カロテノイドの腸管吸収向上を図る。選択性に関わる因子として吸収受容体SR-B1/トランスポーターNPC1L1、排泄トランスポーター(MDR1、ABCG5/ABCG8)について阻害剤を用いて調べた。 平成26年度はsiRNAを使ってさらに詳細な検討を試みようとしたが、siRNAの細胞への導入が難しく、リポフェクション試薬もいくつか試したが、コントロールsiRNAでのタンパクレベルでのノックダウン率が約50%程度であったため、この手法を用いるのは断念した。一方、平成25年度までにMDR1の関与は認められず、平成26年度はABCG5/ABCG8の関与について生理的な基質と考えられる植物ステロールを阻害剤に見立てて調べた。しかし、この場合でも吸収選択性(ヒトにほとんど吸収されない高極性カロテノイドほど排泄されやすい、と仮説を立てたが)への排泄トランスポーターの関与は認められなかった。 実施計画に基づき、いくつかの食品成分についてカロテノイドの可溶化や吸収に与える影響についても調べた。その結果、カロテノイドと同時に摂取しているグリセロ糖脂質(葉緑体チラコイド膜主要構成成分)が大きな影響を与えることを明らかにした。代表的な3種類のグリセロ糖脂質とこれらの加水分解物の効果を調べたところ、加水分解物のジガラクトシルモノアシルグリセロール、スルホキノボシルモノアシルグリセロールが細胞への取込みを高めることを明らかにした。さらに、そのメカニズムを検討し、細胞間結合の透過性に影響を与えて取込みを制御していることを見出した。その研究過程で、細胞間結合がカロテノイドの吸収選択性に影響を与えていることも新たに分かってきた。将来の研究課題である。
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