2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500966
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 徳男 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30192412)
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Keywords | エネルギー代謝 |
Research Abstract |
NAD依存性脱アセチル酵素サーチュイン(sirtuins)はカロリー制限により活性化されること、サーチュインの活性化は酵母や線虫の寿命を延ばすことから、エイジング研究で最も注目された分子の1つである。さらに、サーチュインを活性化するレスベラロールの作用機構が明らかになり、フォスフォジエステレース(PDE)の阻害により、サイクリックAMPの濃度を上げ、最終的にはAMPキナーゼを介して、サーチュインを活性化することが明らかになった。また、AMPキナーゼとWntシグナリングがクロストークすることから、エイジングやメタボリックシンドロームとの関連が研究の焦点となっている。 本研究では精製Wntを用いて、種々の代謝系とエイジングの制御におけるWntの役割を明らかにすることを目的としている。 Wntタンパク質は脂肪酸修飾されていて、疎水性と凝集性が高く、界面活性剤なしに精製することは極めて困難である。申請者は、内在性のWntタンパク質を除去した培地を用いて、種々の安定化剤や添加剤を用いたクロマトグラフィーにより、Wnt3a, Wnt4とWnt5aを高度に精製することを可能にした。現在、精製Wntのタンパク質化学的性質を明らかにし、精製過程で得られたWntと相互作用するタンパク質や誘導されるタンパク質の同定と解析を行っている。また、精製したWntの個体レベルでの影響を解析するために、精製Wntをメタボリックシンドロームと2型糖尿病などのモデルマウスに投与し、その効果を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内在性のWntタンパク質を牛胎児血清より除去することにより、純度の高いWntを調製することが可能になった。同時に、Wntと共発現する相互作用タンパクの同定が可能になった。また、分子量3万9千の単量体以外の複数のWnt分子種が存在することが明らかになった。これらの分子種の性質や機能、修飾形態については引き続き解析中である。精製Wntを用いた2型糖尿病マウスや動脈硬化発症マウスなど加齢疾患マウスへの影響を解析することも可能になり、引き続き、精製Wntの質的、量的な改善も含めて、個体レベルへの影響を詳細に検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、 2型糖尿病マウスや動脈硬化への精製Wntの投与の効果を解析し、これらの結果をまとめて、論文発表することを計画している。Wnt3aが膵臓ベータ細胞のインスリンの分泌を亢進することは、既に知られているが、ベータ細胞に高く発現するWnt4の機能は不明である。精製Wnt4を用いて細胞と個体レベルでインスリン分泌に与える影響を解析することにより、β細胞機能、インスリン分泌の調節とWnt4の関連を明らかにする計画である。
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