2012 Fiscal Year Research-status Report
生体試料を用いた、塩味嗜好性の変容による定量的な減塩効果に関する研究
Project/Area Number |
24500970
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高地 リベカ 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60413085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 淳子 相模女子大学, 栄養科学部, 准教授 (30415509)
岩崎 基 独立行政法人国立がん研究センター, がん予防・検診研究センター, 室長 (60392338)
中村 和利 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70207869)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 減塩 / 食習慣 |
Research Abstract |
1)味付けの嗜好と、24時間尿中ナトリウム排泄量の関係を検討した。2004~2006年の国立がん研究センター検診受診者のうち東京, 埼玉, 千葉, 神奈川在住の40~69歳で既往がない者から、性・年齢階級別に無作為に対象者を抽出、郵送によるリクルートを行い、同意が得られた者を対象として2007年5月~2008年4月に調査を実施した。食物摂取頻度調査票への自記回答及び、食事調査最終日の24時間蓄尿(1回)を依頼した。実際に調査協力を得られた者(144名)のうち、24時間蓄尿を完遂した131名を解析対象とした。みそ汁の味付け「かなり薄い(n=7)、やや薄い(n=49)、ふつう(n=64)、やや濃い(n=11)、かなり濃い(n=0)」群ごとの平均値(性、年齢、体重で調整)を比較した。味付けが強くなるに従って、有意に24時間尿中ナトリウム排泄量が多くなった。味付けが1段階強くなると食塩相当量にして約1g増であることが確認された。 2)上記結果は、都市近郊に在住者を対象とした1回の24時間尿中排泄量による結果である。多地域で、習慣的な摂取量を評価した場合でも同じ結果が得られるか確認するために、全国11地区40-74歳住民14万人を対象とした多目的コホート研究(JPHC Study, 主任研究者:津金昌一郎)の一部対象者(n=565)における4季節28日間食事記録による食塩摂取量データを用いて同様に検討した。当該調査に協力を得られた者のうち、調査票及び食事調査を完遂した560名を解析対象とした。みそ汁の味付け「うすい(n=230)、ふつう(n=322)、濃い(n=8)」群ごとの平均値(性、年齢、摂取エネルギー、飲酒で調整)を比較した。その結果、濃いと回答した者の方が、有意に習慣的な(28日間)の食塩摂取量も多いことが確認された。居住地域で調整しても同様の結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)味付けの嗜好と、習慣的な食塩摂取量との関連及び絶対値として摂取量の差異を、24時間尿中排泄量を用いて明示するという研究計画に対し、味付けの嗜好と習慣的な摂取量との関連を示す点、生体試料を用いて摂取量の差異を明示する点について当初の計画どおり遂行している。 2)無作為化比較試験のフィージビリティー検討のための調査を平成24年秋より開始するという計画に対し、平成24年11月より国立がん研究センターとの共同による統合妥当性研究として長野・秋田・茨城・新潟(村上・魚沼)在住の250名を対象として研究を開始している。自己申告の嗜好の質問に加え、「実際の料理の味付け」・「味覚閾値」の測定及び複数回の24時間尿採取、及び秤量法食事調査を実施する予定で、当該研究の中で平成25年3月までに①自己申告の嗜好の質問票、②2回の24時間尿中ナトリウム排泄量の回収、③「味付けの嗜好」として、広く一般的に家庭で調製され、調味塩分に寄与割合が高く、かつ汎用的な塩分濃度測定機器が存在する「みそ汁(汁物)」の調味における塩分濃度の測定を行った。引き続き、味覚閾値のフィージビリティー調査を同対象者にて行う。データ収集のフェーズは当初の計画通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)既存データによる結果の詳細な解析・公表を目指す:国立がん研究センター検診受診者(n=131)における、食習慣(外食頻度、麺類のつゆのむ量、インスタント食品使用頻度等)と24時間尿中ナトリウム排泄量との関係を示すと共に、これらの関係を、多地域におけるJPHC Study妥当性研究(n=560)による秤量法食事調査による習慣的な食塩摂取量においても確認する。 2)味覚閾値検査のフィージビリティー調査を遂行する。現在遂行している統合妥当性研究(n=250)の対象者において、閾値検査キットによる測定結果の分布等を確認する。 3)無作為化比較試験のパイロット調査を開始する。これらの結果を元に、平成25年度の早期に無作為化比較試験のパイロット調査の研究計画を関係者・機関で合意し、倫理審査申請を行う。倫理審査による承認を得た後、平成25年11月からのパイロット調査着手を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
無作為化比較試験のパイロット調査を開始する。50人を対象としたクロスオーバー試験を行う予定。平成25年11月より開始予定である。平成24年度予算のなかで、当該調査に必要な物品の購入開始を計画していた分(約50万)は、平成25年度予算と併せ次の通り執行する予定である。 汎用塩分測定器(25万円:5,000×50人)、低塩または一般調味料(30万円:1000円/月×6ヶ月×50人)、24時間蓄尿器(ユリンメート)(25万円:2,500×2×50人)、閾値測定キット(6万円)、会場使用量(5万円)、調査用消耗品等(5万円)、調味料送料(24万円:800円×6回×50人)、調査票等送料(5万円)、調査補助員謝金(20万円:1,000×5時間×40日)、調査旅費(5万円)、研究打合せ等旅費(20万円) フィージビリティー調査における生体試料分析委託料(10万円)
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