2013 Fiscal Year Research-status Report
生体試料を用いた、塩味嗜好性の変容による定量的な減塩効果に関する研究
Project/Area Number |
24500970
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高地 リベカ 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60413085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 淳子 相模女子大学, 栄養科学部, 准教授 (30415509)
岩崎 基 独立行政法人国立がん研究センター, がん予防・検診研究センター, 部長 (60392338)
中村 和利 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70207869)
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Keywords | 減塩 / 食習慣 / 味覚閾値 |
Research Abstract |
1)国がん検診受診者を対象として実施した調査結果より、嗜好と24時間尿中ナトリウム排泄量(24h-Na)の関係について解析を進め公表した。みそ汁の味付け(自己回答)が強くなるに従って、有意に24h-Na(1回)平均値・Na摂取量平均値(4日間)が高くなった。味付けが1段階強くなると食塩相当量にして約1g増であることが確認された。この関連は、加工食品の摂取頻度で調整しても変わらなかったが、個人の任意な味付けや調節可能な食行動で調整するとこの関連は大きく減弱した。自己回答によるみそ汁の味付けが一日の食塩摂取を規定するのは、任意で調節可能な塩分摂取行動によると示唆された。2)複数の地域での対象者(n=253)において、複数日の24時間蓄尿において(1)結果の再現を試みた。2012年11月に行ったアンケートにおける味噌汁の味付け自己回答と2013年12月まで5回の24h-Naの結果を比較した(3回以上完遂できた者n=227)。味付けが強くなるに従って、有意に24h-Na平均値が高くなった(性、年齢、体重で調整)。3)2.対象者において味覚閾値を簡易キット(ソルセイブ:0.05~1.8 mg/cm2までの13段階の濾紙)により測定(2013年8~12月)し分布を検討した。口腔内の異常のあった者等を除外し、測定できた者233人のうち塩味認知濃度が0.6を超える者が10%いた。0.6未満においても、対象者によって異なる認知濃度を示すことが判った。4)無作為化比較試験パイロット調査開始(UMIN000012560)。2013年11月より魚沼・村上・新潟市地域において50名を対象として、家庭調味の塩分濃度のモニタリングによる24時間尿中ナトリウム排泄量及び味覚閾値の変化を検討するための無作為化比較試験(12週間、クロスオーバー)を開始した。2014年1月より介入を開始し4月に介入前半が終了。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)味付けの嗜好と、習慣的な食塩摂取量との関連及び絶対値として摂取量の差異を、24時間尿中排泄量を用いて明示するという研究計画に対し、味付けの嗜好と習慣的な摂取量との関連を示す点、生体試料を用いて摂取量の差異を明示する点について当初の計画どおり遂行している。 2)無作為化比較試験のフィージビリティー検討のための調査を、国立がん研究センターとの共同による統合妥当性研究(長野・秋田・茨城・新潟(村上・魚沼)在住の253名対象)において行い、平成25年11月までにデータ収集を完了した。自己申告の嗜好の質問に加え、「実際の料理の味付け」・「味覚閾値」の測定及び5回の24時間尿採取、及び秤量法食事調査(12日間)データを収集した。健常な中高年において簡易キットによる味覚閾値の分布が確認できた。当初の計画どおり遂行している。 3)無作為化比較試験のパイロット調査を開始した。アウトカムを独立して評価するための組織等を詳細に検討し、倫理審査の承認を得て2013年11月より研究を開始した(UMIN-ID: UMIN000012560)。2014年1月~4月まで12週間の前期介入を行った。統合妥当性研究の対象者もリクルートし同意を得るように努めるなど効率的に研究を進めている。データ収集のフェーズは当初の計画通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)味覚閾値検査のフィージビリティー調査による結果の詳細な解析を進める:国立がん研究センターとの共同による統合妥当性研究(5地域、253名対象)をもとに、塩味閾値と自己申告のみそ汁の味付け好みや実際の家庭調味、24時間尿中ナトリウム排泄量との関連を明らかにする。 2)同対象者において、24時間尿中ナトリウム排泄量の個人間変動にどのような食行動や食品の摂取頻度が寄与するのかを明らかにする。 3)食事記録によるナトリウム摂取量の評価精度を、24時間尿中ナトリウム排泄量を用いて検証すると共に評価方法の標準化を検討する。 4)無作為化比較試験のパイロット調査を引き続き行い、8月までに調査を完了する。対象者には結果報告会にて結果を報告する。家庭調味のモニタリングや低塩調味料の使用による24時間尿中ナトリウム排泄量及び味覚閾値・味付けの好みの変化を検討することによって味覚の変容の可能性、及び具体的な減塩方法の提示を目指す。アウトカムは事務局とは独立して評価できる組織とした。結果報告会を完了させ解析を進め、結果を公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画を申請した際には、平成25年度中に介入研究のパイロットスタディーを終える予定であったが、研究を効率的に進めるため及び味覚閾値のフィージビリティーをみる調査を組み入れたために、介入研究のパイロットスタディーの実施が平成25年秋から26年夏までと最終年度までと後ろ倒しになった。26年4月までに介入の前期を終え、5月より後期を実施することとなったため。 平成25年度予算のなかで、当該調査に必要な物品の購入開始を計画していた分は、平成26年度予算と併せ次の通り執行する予定である。 低塩または一般調味料(15万円:1000円/月×3ヶ月×50人)、調味料・蓄尿容器送料(16万円:800円×4回×50人)、調査票等送料(3万円)、閾値測定キット(4万円)、調査用消耗品等(15万円)、調査補助員謝金(20万円:1,000×5時間×40日)、事務局人件費(35万)、調査旅費(50万円)、研究打合せ等旅費(30万円)、パイロット調査における生体試料分析委託料(12万円)、学会・論文公表にかかる諸費用(15万)
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