2012 Fiscal Year Research-status Report
おいしさと記憶の相互作用による脳内食行動調節機構の解明
Project/Area Number |
24500973
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
乾 賢 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (40324735)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 味覚 / 食行動 / 脳 |
Research Abstract |
食行動は身体的健康と精神的安定の維持に必須である。食行動の制御には脳が重要な役割を担う。しかし,その脳内メカニズムについては未解明の部分が多く、様々な課題が残されている。 食行動に影響を与える要因として、食べ物のおいしさと記憶があげられる。食べ物のおいしさと記憶が食行動にどのように影響を及ぼすかについて、その調節機構を明らかにしようとする試みが数多くなされている。しかし、全容はいまだ明らかにされていない。「おいしい菓子の名前を覚える」「まずい料理屋には行かない」といったことを我々は容易に行うことができる。このことから、おいしさと記憶は密接な関係にあると推察される。そこで本研究では,おいしさと記憶の相互作用による食行動調節の脳内メカニズムを解明することを目標とする。 本年度の具体的な達成目標としては、脳機能を解析するための行動実験課題を改良することとした。これは従来の実験手続きでは食行動における「おいしさ」と「記憶」を区別して捉えることが難しかったためである。そこで、独自の実験装置を開発することとした。具体的には、ラットの摂取行動を複数の指標によって客観的に捉えられるように、通過センサなどを備えた装置を開発した。この装置では、摂取時の動物の身体反応を動画記録することも可能である。今後この装置を用いて、味覚嫌悪学習を獲得した動物が条件刺激に対して示す行動を解析する。 来年度以降の計画では扁桃体を研究対象の一つとしているが、おいしさを生み出す味覚の情報が扁桃体への入力する経路は明らかにされていない。そこで、神経回路標識法と免疫組織化学的手法を用いて、味覚情報がどこから扁桃体の入力経路を調べた。その結果、結合腕傍核から扁桃体基底外側核へと情報伝達がなされることを示唆する知見が得られた。今後データを追加して本研究の理論的背景を強化する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の目的に記した装置の開発については予定通りに進んだ。しかし、本来の予定では十分な量の行動実験を終えている予定であったが、まだその量は十分ではない。
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Strategy for Future Research Activity |
早急に行動実験のデータを蓄積し、開発した実験装置内で動物が示す行動についての知見の基盤を固める。これらの課題を早急に終わらせて、本来の予定にある脳部位の昨日について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額については、実験動物を購入して行動実験を行うための費用である。この費用で少なくとも20匹のラットを購入することができるため、十分な量のデータを得ることが可能である。次年度以降の研究費については、脳内メカニズムを明らかにするための実験に使用する。
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Research Products
(4 results)