2014 Fiscal Year Annual Research Report
脂質栄養が胸腺の支持細胞の機能と免疫細胞(T細胞)産生に及ぼす効果の検討
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24500979
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
安達 泰弘 産業医科大学, 医学部, 講師 (10346546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和田 祐二 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20292211)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂肪酸結合タンパク / 長鎖不飽和脂肪酸 / 胸腺 / Hmgn1 |
Outline of Annual Research Achievements |
〈最終年度に実施した研究の成果〉 最終年度は、野生型及びFABP5-KOマウス胸腺培養胸腺上皮細胞におけるⅠ)脂肪酸添加による増殖分化能の変化、Ⅱ)液性因子遺伝子発現の変化、及びⅢ)脂肪酸添加による胸腺細胞の分化誘導能の変化について検討を行った。Ⅰ)培養条件下において、各種脂肪酸を添加後、EdU取込み及びKi-67抗原の陽性率で増殖能の評価を行った。飽和脂肪酸に対しては両系統間でEdU/Ki-67陽性細胞(増殖中の細胞)数に大きな変化はなかった。低濃度の長鎖不飽和脂肪酸に対しては、FABP5-KO上皮細胞の増殖が抑制され、分化に転じている可能性が示唆された。レチノイン酸に対しては両系統共に増殖が抑えられていた。Ⅱ)液性因子の遺伝子発現については、両系統間において顕著な発現差は見られなかった。Ⅲ)成体胸腺における両系統間で胸腺細胞の分化状態を比較したところ、CD4単陽性、CD8単陽性、CD4CD8両陽性及び両陰性分画で差は見られなかった。更にCD4CD8両陰性分画に含まれるDN1-4分画についても差は認められなかった。胎生14.5日目の胎仔胸腺を使用したRTOCを行い胸腺細胞分化誘導能を検討したところ、明確な結果とはならなかったが、長鎖不飽和脂肪酸が胸腺細胞の分化を促進する可能性が示唆された。 〈研究期間を通して行った研究の成果〉 野生型マウスとの比較解析の結果、FABP5-KOマウス胸腺の機能はほぼ正常であった。初代培養系を用いた細胞レベルの解析の結果、胸腺上皮細胞の長鎖不飽和脂肪酸に対する増殖応答にFABP5分子が関与していることが示唆された。また新たな結果として、クロマチン構造制御に関わる重要な遺伝子Hmgn1の発現が極端に低下していることが判明した。この遺伝子とFABP5の関連については検討に着手しているが、FABP5遺伝子ノックアウトに起因する生体・細胞レベルでの機能的な異常を説明するにあたり、Hmgn1が重要な要素になると思われる。
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