2013 Fiscal Year Research-status Report
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24500982
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
澤井 明香 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 准教授 (00454330)
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Keywords | 咀嚼 / 欠食 / 脳血流 / 自律神経 |
Research Abstract |
本研究は欠食や食事摂取時の咀嚼状況の違いと認知機能の関係性を集団を対象とした簡易咀嚼検査と、f-NIRS・呼気ガス分析装置・心電計等の精密機器による、脳血流・代謝値・自律神経の測定の2種類の方法で検討する。昨年度は子どもの集団の簡易咀嚼検査をしたため、本年は結果の学会発表と論文作成を行い論文が掲載された(日本咀嚼学会雑誌2013.11)。本年は通所高齢者福祉施設利用者集団の咀嚼とADL等の関係を調査し、その結果は2014年6-9月に学会発表のち論文投稿を予定する。精密機器を用いた実験も咀嚼や負荷課題の設定条件を整え本格的に開始した。高齢者集団の調査の概要を示す。デイサービス利用者(37名、平均年齢85.1歳)に、我々研究グループが開発した検査用グミゼリーや既存の咬合力計を用いた咀嚼検査を実施した。グミ断片から溶出されたグルコース濃度は既存の咬合力計とr=0.4の相関がみられた。グミ検査法は咬合力計とは異なり検査者の職業の制限がないため、福祉施設、学校等での簡易咀嚼評価も栄養士や職員で可能と考える。咀嚼能力は介護度が高さと負の相関(r=0.5)を示した。グミ法には、グルコース溶出量の指標と、断片の形状の目視評価があるが、今回の高齢者はグミ塊の咬断が困難で目視は限界が生じ、50名に対して半量グミの検討も新たに行った。半量グミは咬断面積の縮小で咬断が容易になり目視評価し易くなると推察したが、高齢者の場合は舌や頬の動きの衰えによりグミ塊の口腔内の適切な輸送が困難な者もあり咬断片は一様でなかった。精密検査は検査食を欠食・通常の固形食・濃厚流動食・ブドウ糖液(糖質主体)食・偽咀嚼(濃厚流動食摂取後に固形食と同数の空咀嚼)食の5種を、大学生31名を対象に、暗室にて3種類の顔認知課題(顔再認・顔表情・視線変動)を提示し、代謝値、呼吸商、f-NIRSによる脳血流値、自律神経活性を測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
集団を対象とした咀嚼調査については、予定していた対象は全て終了し、学術誌に論文が掲載された。また、当内容を発展させた食育や、検査試料をより良いものへと進化させるための実験にも取り掛かることができた。 個人を対象とした精密機器を用いた分析については、特にfNIRSについては、旧所属で対応していた機種ではなく、神奈川工科大学に異動し、学内に設置されている、これまでに経験のない機種を扱っての実験であり、ほかに代謝器の設置も必要であっため、機器の環境や調整に時間を要した。fNIRSや代謝器を用いた測定については、食事の負荷前(欠食)については全て終了しているが、咀嚼形態を考慮した様々な検査食については、現在、実験中である。また、実験後の解析方法についても、工夫が必要であり、現在取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
集団を対象とした調査は終了したため、今後、さらに研究成果を学会や学術誌を通じて公表していく。個人を対象とした、精密機器(fNIRS,代謝器,心電計)を用いた分析実験については、基礎実験は終了しているため、今後は咀嚼形態を様々に変更した検査食を随時追加して対応する。現在、その検査食での測定を実施しているため、これを継続していく。 なお、検査食の内容は、具体的には、欠食、固形食(一般食)、流動食、ブドウ糖食、偽咀嚼食(流動食摂取後に、固形食と同数の空咀嚼)の5種である。夏休みを目途に実験を全て終了させ、以降は解析作業を行う。
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