2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500985
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
桑波田 雅士 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (30304512)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肝障害モデルラット / ゼラチン加水分解物 / 病態栄養学 |
Research Abstract |
初年度は、脂肪性肝疾患の病態進行に大きな影響を及ぼしている肝臓の線維化に着目して検討をおこなった。肝線維化の病態モデルとして広く使用されている四塩化炭素投与による慢性肝障害モデルラットに対する栄養成分の影響を検討したところ、ゼラチン加水分解物を摂取させることで、有意に肝線維化を抑制する可能性を見出した。本研究で用いたゼラチン加水分解物は、非代償性肝硬変患者の肝性脳症改善用に使用される経腸栄養製品に含有されている成分であり、肝疾患患者の血漿で増加している芳香族アミノ酸がゼラチンにはわずかしか含まれていないという特徴がある。さらに加水分解物ということで、ペプチドによる未知の効果も期待できる成分といえる。今年度の研究結果では、既に肝疾患患者の栄養管理における有効性が認知されている分岐鎖アミノ酸と比較して、ゼラチン加水分解物摂取で、より効果的な線維化抑制効果が認められた。さらに肝疾患患者の病態栄養学的問題の1つとされるエネルギー栄養不良に対する影響を検討する目的で、肝臓におけるグリコーゲン貯蔵量を検討したところ、対照群と比較して、分岐鎖アミノ酸摂取群と同様、ゼラチン加水分解物摂取群で有意な増加が認められた。今後の研究では、過栄養性肥満モデルラットの脂肪性肝疾患の発症に対するゼラチン加水分解物摂取の影響を検討する予定である。なお、これらの研究で用いたゼラチン加水分解物は、既に栄養製品の材料として使用されている成分であり、脂肪性肝疾患患者への応用も比較的容易と考えられるため、その実用性に関する意義は大きいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過栄養性脂肪肝モデルを用いた検討には至らなかったが、脂肪肝の進行抑制作用が期待できる新規栄養成分として、ゼラチン加水分解物を見出せたことは非常に大きな進展と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
過食に起因する肥満を呈し、さらに長期間飼育によりインスリン抵抗性ならびに糖尿病を発症することが知られている病態モデルラットに対し、高脂肪および高コレステロール食を給餌することで、脂肪肝を誘発させる。この過栄養性脂肪肝の発症および進展に対するゼラチン加水分解物摂取の影響を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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