2013 Fiscal Year Research-status Report
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24500985
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
桑波田 雅士 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (30304512)
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Keywords | ゼラチン / 加水分解物 / 脂肪肝 / 血糖値 |
Research Abstract |
初年度、四塩化炭素投与による慢性肝障害モデルラットに対し、ゼラチン加水分解物(gelatin hydrolysate: GH)の摂取が肝線維化抑制作用を示すことを見出した。 本年度はメタボリックシンドロームや2型糖尿病モデルとして使用されるOLETF (Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty) ラットの病態発現に及ぼすGH摂取の影響を検討した。7週齢のOLETFラットを20%カゼイン(蛋白質)・5%脂肪含有飼料で維持する対照群、16%カゼイン・4%GH・5%脂肪含有飼料で維持するGH群、20%カゼイン・25%脂肪・5%コレステロール含有飼料で維持する高脂肪高コレステロール群、および16%カゼイン・4%GH・25%脂肪・5%コレステロール含有飼料で維持するGH高脂肪高コレステロール群の4群に分けた。それぞれの飼料で13週間飼育したのち、深麻酔により安楽死させ、血液と肝臓を採取した。解析の結果、GHの添加にかかわらず、高脂肪高コレステロール含有飼料で維持した2群では、肝臓への顕著な脂肪蓄積と線維化が確認された。OLETFラットは過食を示すことが特徴の1つであり、さらに25%脂肪・5%コレステロールという極端な食事組成を用いた結果、GHの効果が検証しきれなかった可能性を考えている。また、脂肪肝から脂肪性肝炎への進展にインスリン抵抗性が影響している可能性が示唆されている。そこでインスリン作用とGH摂取の関連を検討する目的で、ストレプトゾトシン投与による糖尿病モデルラットにGHを摂取させ、その病態に及ぼす影響を検討した。ストレプトゾトシン投与後からGH添加飼料を摂取させたところ、1週間後の血糖値がGH濃度に依存して低下することを見出した。しかしその作用機構に関しては、現在のところ明らかではなく、現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高脂肪、高コレステロール食を使用した動物実験系では明確な作用は検出できなかったが、糖尿病モデル動物において有効性を示唆するデータが得られたことは、機能性成分の同定および作用機構の解明に大きく進展する可能性が考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病モデルを利用して、活性成分の同定を試みる。すなわち加水分解により生じたペプチドに由来する機能なのか、構成アミノ酸による機能なのかを検討し、さらに活性本体の同定を進める。そして同定された成分を添加した飼料を用い、過栄養性脂肪肝の発症、進展への影響を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度当初に実施した動物実験において、予想していた効果が認められなかったことから、その後に計画していた実験を変更した結果、次年度使用金が生じた。 本年度、新たに見出した糖代謝異常に対する作用機構の解明を継続して進めるとともに、これらの結果を考慮した実験条件を再構築し、当初の計画と同様の実験を遂行する。
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