2012 Fiscal Year Research-status Report
胃のリズム解析で評価した朝食の目覚まし効果-朝型夜型タイプと時計遺伝子に着目して
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24500988
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
永井 成美 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (60364098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (40335443)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 朝食 / 胃運動 / 食欲 / 体温 / 時計遺伝子 / 朝型夜型 / 生活リズム |
Research Abstract |
朝食欠食は午前中の活力や仕事の能率を低下させるのみならず,長期的には肥満やメタボリックシンドローム発症とも関連しており,その改善が望まれる。本研究課題では,朝の食欲を惹起する朝食メニュー開発や朝型ライフスタイル提案のための基礎データ蓄積を目的として,①朝に摂取する飲食物が,食欲や胃の規則的な収縮運動(胃運動)にどのように影響を及ぼすのか,②朝型夜型の生活リズムや時計遺伝子多型は,朝の胃運動にどのように影響しているのか,の2点についてヒト試験による検討を行った。 ①については,液体もしくは流動状のサンプルを用いたヒト試験により,炭酸・香辛料・香り等の刺激や,食物の美味しさ(嗜好性)が食欲や胃運動に及ぼす影響について液状の食品から検討を開始した。その結果,香辛料を含む温スープや冷たい炭酸水などのいくつかの食品が対照食品と比較して胃運動や摂取後の満腹感などを高めることを見出した。また,嗜好性の高い(美味しい)温スープは,深部体温のみならず足先などの抹梢体温の上昇にも寄与することを見出し、各成果を査読付き原著論文として投稿し受理された。 ②については、時計遺伝子(Clock, Per3)の遺伝子多型が朝の胃運動(強さと周波数)に及ぼす影響について平成24~25年度の2年間で実験データを蓄積し,100~200名のデータベースから検討を行うことにしている。現在も実験を継続中であるが,既にClock3111 T/C SNPを有する若年女性では朝の胃運動が減弱しているというデータが得られたので,国際誌に論文を投稿し受理された。 また,①の発展的研究として,朝食として摂取する通常の食事(固形食)についても,食べ方によって朝食摂取の効果が異なると考え,咀嚼の有無による食後の熱産生の違いを検討した。得られた成果を平成25年度に国内外の学会で発表し,国際誌へも論文を投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ヒト試験を計画的に,年度の上半期に集中して行ったため,比較的早い時期に結果を得ることができた。そのため,学会発表,論文投稿ともに順調に進み,予想以上の達成度となった。
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Strategy for Future Research Activity |
1. Clock遺伝子多型(-3111 T/C)やPer3(54bpI/D)が朝の胃運動や食欲と関連しているかどうかについて,栄養摂取状況や体組成,体温(鼓膜温)・心臓自律神経活動,心拍数等の生理学的指標とともに引き続き検討を行う。 2. 1の研究に関連して出てきた,朝の朝食摂取に関連する生理的指標の低さ(低い心拍数,胃運動出現回数の少なさなど)が,生活リズムの位相のズレなのか,絶対値として低いのかという疑問を明らかにするため,サーカディアンリズムに着目してさらに詳細な検討を行う。 3. 研究最終年度の,介入試験の準備を行う。 4. 得られた成果を順次,論文として公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額が生じた状況 研究分担者において未使用額が生じた理由は、検査用検体数が当初予定よりも少なかったため、検査費用が当初予定額よりも少なかったためである。次年度は研究が本格化し、検査検体が本年度よりも増加するため、未使用額については次年度研究費と併せて使用する計画である。 未使用額と助成金を併せた使用計画 ①研究成果公表のための旅費(国際学会,国内学会)、②実験に必要な薬品,消耗品,試験食食材等の購入費用、③検査費用および検査に必要な薬品・消耗品(H24年度未使用額を併せて使用)、④実験後のデータをデータベースに入力するためのアルバイトへの謝金 、⑤論文投稿および別刷り費用、に使用する。
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Research Products
(8 results)