2013 Fiscal Year Research-status Report
胃のリズム解析で評価した朝食の目覚まし効果-朝型夜型タイプと時計遺伝子に着目して
Project/Area Number |
24500988
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
永井 成美 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (60364098)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (40335443)
|
Keywords | 朝食 / 胃運動 / 食欲 / 体温 / 時計遺伝子 / 朝型夜型 / 生活リズム / 若年女性 |
Research Abstract |
どのような飲食物を摂取すれば朝の胃の動き(胃運動)や食欲が高まるのか,夜型生活は朝の胃運動や食欲に影響するのかについて,個人差(遺伝子多型)も含めた検討を行った。本年度(2年目)は,①朝に摂取する飲食物の食欲や胃運動への影響を明らかにするために甘味刺激(液体サンプル)を用いた検討とともに,②時計遺伝子(Clock, Per3)多型による個人差についても検討した。 ①では,炭酸水が朝の胃運動や食欲感覚を高めることが対照(水)との比較により明らかになった。またSham-feeding(飲み真似)試験より炭酸刺激への反応は脳相フェーズで生じている,すなわち胃まで飲食物が入らなくても口腔内での感覚刺激への応答のみでも胃運動が起こることが示唆された。成果は学会発表と論文により公表した(1報は国内誌に受理,1報は国際誌へ投稿準備中)。 ②では,1年目にClock3111T/C SNP単独で朝の胃運動が減弱するとの知見を得て,国際誌へ投稿,受理されていた。2年目は被験者を追加し,ClockとPER3両方の遺伝子多型を有すると,Clock単独より胃運動の減弱が顕著であることを見い出した(国際誌へ投稿準備中)。 また,①の発展的研究として,朝食(固形食)の食事誘発性熱産生(DIT)を咀嚼回数の違いに着目して検討し,1口30回を目安とした咀嚼が等内容の朝食摂取(ブレンダー食)の約2倍のDITを惹起することを見い出した。さらに,夜型タイプの胃運動や自律神経活動については,朝の一時点のみでなく朝~夜までの経時変化も追加試験により検討したところ朝型タイプと比べて夜に向けて亢進するという特徴を見い出した。以上の成果は,3年目(最終年度)に学会発表並びに論文投稿により順次公表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
・昨年度の報告書に記載した「今後の研究の推進方策」4項目(以下)を全て行った。 ・成果の公表(論文投稿・投稿準備)も順調に進んだ。 1. Clock遺伝子多型(-3111 T/C)やPer3(54bpI/D)が朝の胃運動や食欲と関連しているかどうかについて,栄養摂取状況や体組成,体温,心臓自律神経活動,心拍数等の生理学的指標とともに検討を行う。 2. 1の研究に関連して出てきた「朝の生理的指標の低調さ(心拍数,胃運動出現回数)などが,生活リズムの位相のずれなのか,絶対値として低いのか」という疑問を明らかにするためにサーカディアンリズムに着目した詳細な検討を行う。 3. 研究最終年度の朝食介入試験の準備を行う。 4. 得られた成果を順次,論文として公表する。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. 朝の食欲や胃運動と血中の食欲ホルモン(グレリン等)との関連を明らかにする。 2. 習慣的朝食欠食者が朝食を摂取し始めると,朝の食欲と胃運動,体調・体温などはどのように変化するのか,介入試験により明らかにする。 3. 食育「早寝早起き朝ご飯」の実施:得られた成果を,青年期の食育(プログラムや教材開発)に活かす。 4. 得られた知見を順次,論文として公表する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度(最終年度)に計画している血液検査(グレリン)や朝食介入試験の謝金が多額であること,加えて論文投稿先(国際誌)の投稿・掲載費用が1編あたり約15万円かかることが判明し,当初の見込み額よりも最終年度に多くの費用が必要となることが見込まれたため繰越しを行った。 平成25年度未使用額と平成26年度助成金を併せて,検査費用,被験者謝金,論文掲載費用に充当する。
|