2015 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病を伴った血中の高コレステロールがもたらすマラリアの感染と治療への影響
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24500992
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
早川 枝李 自治医科大学, 医学部, 助教 (00383753)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 熱帯熱マラリア / 脂質代謝 / リポタンパク質 / 赤血球膜の物性 / コレステロール / マラリア原虫感染赤血球内部の膜構造 / マラリア原虫感染赤血球の膜表面構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱帯熱マラリアは、蚊に媒介されたマラリア原虫がヒト体内に入った後、肝臓を経て赤血球に侵入し感染が確立する。熱帯熱マラリア原虫はヒトとは異なる脂肪酸合成径路を持ち、たとえば哺乳動物のようなFAS I径路を持たない。また、マラリア原虫の培養にはコレステロールが必須であり、ヒト体内においては血液中からコレステロールを取り込む。そのためマラリア感染者の血中コレステロール値は、非感染者よりも顕著に低下していることが報告されている。しかし、脱核後の赤血球においてどのようにしてマラリア感染赤血球に脂肪酸やコレステロールが取り込まれているのかは今なお不明である。そこで本研究では血液中に存在するHDLやLDLなどのリポタンパク質が、マラリア感染赤血球への中性脂質やコレステロール等の供給に関わっている可能性を考え検討を行った。実験系として、マラリア感染赤血球と肝細胞を共培養し、そこにHDLや各種脂肪酸合成阻害剤を添加したのちマラリア原虫の増殖能などについて検討した。この結果、HDLを添加した系ではマラリア原虫の増殖が著しく低下していることがわかった。次にコレステロールの合成阻害剤であるスタチンを使用した系でも、マラリア原虫の増殖が低下していた。この結果はマラリア原虫単独の培養系にスタチンを添加したときには見られなかった傾向である。これらの実験結果から、マラリア感染赤血球が取り込む脂質輸送には、肝臓-リポタンパク質-マラリア感染赤血球の3者間において脂質のやり取りが行われている可能性が示された。今後は他のリポタンパク質の影響についても比較検討し、マラリア感染赤血球への脂質の取り込みについて総合的な検討を行うこととする。
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Remarks |
現在もNIH-NIAIDのDr. Wellemesとの共同研究は継続中。また、過年度の研究結果をうけ今年度からオーストラリア・メルボルン大学のDr. Leann Tileyとの共同研究も開始されます。
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[Presentation] Biological significance of alpha-synuclein in human erythroid cells2015
Author(s)
Kotomi Sugawara, Katsuya Araki, Ken Asanuma, Junsuke Yamashita, Eri H. Hyakawa, Isuzu Kobayashi, Kumi Ubukawa,Naoto Takahashi, Hideki Wakui, Kenichi Sawada, Hideki Mochizuki, and Wataru Nunomura
Organizer
ASCB( The American Society for Cell Biology)
Place of Presentation
San Diego, USA
Year and Date
2015-12-12 – 2015-12-16
Int'l Joint Research
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