2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500993
|
Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
清水 純 城西大学, 薬学部, 講師 (70297597)
|
Keywords | 炊飯米 / 大腸炎 / DNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
平成25年度は、炊飯米(α化米粉末,processed rice,PR)の投与による遺伝子発現の変化について、DNAマイクロアレイを用いた網羅的な解析を行った。C57BL/6雌性マウスに、①標準食、②PR食、③標準食+DSS(デキストラン硫酸ナトリウム)、④PR食+DSSを与えた。大腸炎を誘導するDSSは、溶液を飲水として投与した。飼育終了後、肝臓と大腸をDNAマイクロアレイのサンプルとした。また、①と②の糞を3日間採取し、リアルタイムPCR法により菌数の測定を行った。PRはDSS投与による大腸炎を軽減した。遺伝子発現は、PRの投与により、肝臓と大腸のそれぞれで、遺伝子発現に変動が認められた。さらにDSSにより、遺伝子発現の変動幅が大きくなった。肝臓では、DSS投与にかかわらず、抗原結合や免疫グロブリンに関する遺伝子の発現が上昇していた。大腸では、DSS非投与で、各種の免疫グロブリンに関連する遺伝子が見られた。一方、DSS投与では、細胞周期に関係する遺伝子の発現上昇が見られた。PRの投与により、総菌数に対する割合は、Lactobacillusは有意に増加し、Bifidobacteriumは増加傾向が認められた。これらの結果より、PRの投与により、免疫系を賦活していると考えられた。また、大腸の炎症状態では、細胞周期に影響を与え、組織損傷時の修復を早めていると考えられた。さらにPRは、腸内細菌叢を修飾することから、代謝産物の変動が、大腸炎の軽減に影響している可能性がある。本研究により明らかにされたPRの作用が、大腸炎の予防、または軽減に関与していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定した予定より、飼料用の炊飯米(α化米)の製造に時間がかかった。しかし、研究の目的であったPRの大腸炎軽減効果に関して、DNAマイクロアレイ解析により、免疫系や、細胞周期に影響することを見出すことができた。したがって、当初の研究実施計画をほぼ予定通り達成できたといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、炎症抑制メカニズム解明のため、in vitroで腸管炎症モデルを作成し、抗炎症効果を発揮した成分の探索と同定を目指す。そのために、マクロファージ様細胞株、腸管上皮様細胞株を用い、炊飯米の成分の影響を検討する。
|