2014 Fiscal Year Annual Research Report
コーヒーによるステロイド代謝調節と生活習慣病予防との相関
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24500996
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田村 悦臣 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (50201629)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / コーヒー / がん / 予防 / ステロイドホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺がんや乳がんはともに性ホルモン依存のがんであり、その発症リスクはライフスタイルに大きな影響を受ける。生活の欧米化に伴い、前立腺がんや乳がんの死亡者数は急増しており、がんによる死因の上位になっている。 前立腺がんの進行には男性ホルモン(アンドロゲン)が関与し、アンドロゲン受容体(AR)を介する作用が重要な働きをしている。そのため、前立腺がんの治療薬として抗アンドロゲン薬が適用される。最近の疫学調査から、コーヒーの習慣的な喫飲が前立腺がんを予防する可能性が示唆されている。そこで、アンドロゲン代謝に対するコーヒーの効果を解析した。 男性ホルモン代謝酵素の中心的な酵素Aldo-keto reductase family 1 member C type3 (AKR1C3)は、アンドロゲン非依存性前立腺がん細胞で高発現している。そこで、ヒト前立腺がん細胞LNCaPを用いて、AKR1C3発現に対する効果を見たところ、コーヒー濃度依存的に遺伝子発現が促進し、2.5%コーヒー添加後8時間で最大8倍になった。タンパク質も同様の変化を示した。コーヒー中のAKR1C3誘導活性は、カフェインやクロロゲン酸などの主成分ではなく、コーヒー豆の焙煎により生成し、ブタノールで抽出される成分であった。さらに、AKR1C3遺伝子発現の誘導について検討した結果、抗酸化を司る転写因子Nrf2の活性化によることが明らかとなった(投稿中)。現在、この活性化のメカニズムの解析を進めている。 一方、乳がんは女性のがんの罹患率1位を占めるがんである。最近、乳がん患者のタモキシフェン治療効果とコーヒー摂取の間に正の相関があることが報告された。ヒト乳がん細胞MCF-7を用いて、エストロゲン代謝に対するコーヒーの効果について検討した結果、コーヒーによりエストロゲン受容体活性を低下させる可能性を示唆する結果が得られた。
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Research Products
(13 results)