2012 Fiscal Year Research-status Report
次世代を担う女性における栄養素・食品摂取と心の健康に関する研究
Project/Area Number |
24501004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Matsumoto University |
Principal Investigator |
小西 香苗 松本大学, 人間健康学部 健康栄養学科, 講師 (70238103)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 食事パターン / 心の健康 / うつ症状 / 食物摂取頻度調査 / 栄養疫学 / 因子分析 |
Research Abstract |
本研究の背景には、思春期から20、30代女性における摂食障害など心の問題が関与する食行動異常や、若年成人女性における不適切なダイエットによる低栄養や偏った栄養摂取などの女性の心と栄養の問題がある。そこで、日本における疫学研究デザインによる報告は大変少ないため、次世代を担う女性におけるうつ症状と栄養素・食品の摂取状況との関連を栄養疫学手法に則って明らかにすることを目的としている。 平成24年度は栄養疫学手法に則った研究プロトコルの作成および精度の高いデータ収集を行うために、先行研究レビューを調査に先んじて行った。レビュー結果を参考に調査票作成を行った。調査票作成においては、国際的に広く使用されている点、日本において標準化が行われている点などを考慮して、①基本情報および食習慣・生活習慣状況調査、②健康関連QOL尺度(SF-36)、③抑うつ尺度(CES-D)、④簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)の4つの構成にて作成した。次に対象者集団の選定を行った。対象者を20-49歳の成人女性として、①学校給食関連職員、②看護師、③保育園職員の3つの女性職場を対象集団として選定し、調査の協力依頼を行った。現在までに調査票1483部の配布を行い、890部の調査票回収(回収率60.0%)が終了している。現在、看護師160部、保育園従業者420部の調査票配布とその回収作業が継続中である。最終的に1200名の調査票回収を見込んでいる。 平成24年度は、精度の高い調査票を作成するために文献レビューを行い、精度の高い調査票が作成できた点、対象者を女性職場の従業員として職種を厳選した点などにおいて、疫学研究の計画における重要な点を押さえることが出来たと考える。現在のところ、調査票の回収が予定より遅れているため、進捗状況は当初の計画よりもやや遅れてはいるが、順調に研究が進行していると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の計画では、平成24年度中に調査実施計画から実施(調査票回収)までを終了する予定であった。調査計画(調査プロトコル・調査票の作成)や調査対象者の選定・依頼を厳選に行ったため予定より時間を要したため、調査票を各施設に配布するのが予定よりも遅れた。現在、調査票は約900部の回収が終了し、回収作業を継続中である。6月中旬までに更に約300部の回収を見込んでいる。 また、遅れを取り戻すために、既に回収できた調査票については記入点検を行い、全ての調査票の回収を待たずに入力業者に入力依頼を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
回収した調査票を記入点検後、入力業者に入力依頼を行い、データ電子化を行う。データはクリーニング後に次の解析を今年度中に行う予定である。(1)食品摂取量を用いて因子分析(主因子法、バリマックス回転)を行い、食事パターンの抽出を行う。 (2)食事パターン、栄養素摂取量とアウトカム(うつ症状、身体的・精神的健康度)との関連は交絡因子を調整した重回帰分析および多重ロジステック回帰分析を行う。 (3)共分散構造分析を用いてパス解析を行い、アウトカム(うつ症状、身体的・精神的健康度)へ与える各種要因との関連性の検討を行う。 アウトカム変数(従属変数)として、うつ症状(CES-D調査票)における①うつ気分、②身体症状、③対人関係、④ポジティブ感情の4つの下位尺度および健康関連QOL尺度(SF-36調査票)における①身体機能、②日常役割機能(身体)、③体の痛み、④全体的健康感、⑤活力、⑥社会生活機能、⑦日常役割機能(精神)、⑧心の健康の8つの下位尺度得点を用いる。独立変数としては、抽出された各食事パターンの因子得点、主要栄養素摂取量を用いる。統計解析は統計解析ソフトウェアSPSSに加えて、共分散構造分析を行うAmosを用いて行う予定である。 調査協力者へBDHQ(食物摂取頻度調査)の「個人結果票」返送作業を行う予定である。BDHQ販売会社(株)ジェンダーメディカルリサーチの個人結果票作成ソフトを活用して、対象者に有益な結果情報を返還していく予定である。 上記解析によって得られた知見をもとに予防医学的な展開を図り、次の学会にて発表を行う予定である。①日本栄養・食糧学会(2013年5月:名古屋)、②日本栄養改善学会(213年9月:神戸)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度において調査票発送・回収が遅れたため、今年度も引き続き調査票購入、調査票発送・回収に関わる郵送費等の支出(約15万)が見込まれる。また、回収した調査票を電子データ化するにあたって、入力業者へ支払う費用(35万)および調査対象者への「個人結果票」返却に関わる印刷・郵送代金等(10万)も主な支出として見込まれる。 その他、解析に要する統計解析ソフトやコンピューター購入費用(40万)、学会発表(10万)等の支出が予想される。
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Research Products
(3 results)