2012 Fiscal Year Research-status Report
脂質代謝と酸化ストレス制御間のクロストーク機構に及ぼす食餌中脂質組成の役割
Project/Area Number |
24501010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
上硲 俊法 近畿大学, 医学部附属病院, 教授 (20233934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 裕滋 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (00465650)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂質代謝 / Nrf2 / 脂肪酸組成 / 大豆油 / ラード / 魚油 |
Research Abstract |
摂取する油脂の脂質組成の差異は脂質代謝、エネルギー代謝のみならず酸化ストレスに影響を及ぼすと考えられている。食餌中脂質の量的な差が酸化ストレス制御センサーであるNrf2- keap1系に影響を及ぼす事が知られている。このことは脂質代謝とNrf2-keap1系による酸化ストレス制御の間にクロストークが存在すると推測できる。本研究は、食餌中の脂質組成の差異が脂質吸収・代謝とNrf2-keap1系にどの様な影響を及ぼし、相互に如何なる関連があるのかを解明する事を目的とする。高脂肪食が脂質代謝やNrf2系への影響がある事は報告があるので、平成24年度には脂肪酸組成の異なる各種油脂(大豆油、ラード、魚油)摂取が脂質代謝とNrf2系による酸化ストレス制御に及ぼす影響を系統的に検討し、n-3不飽和脂肪酸を多く含む魚油が肝臓、小腸における脂肪酸合成系、異化系、コレステロール代謝、胆汁酸代謝に影響及ぼす事のみならず、肝臓、小腸の細胞膜上のABC transporter発現に影響する事やNrf2関連遺伝子産物の発現に影響することを明らかとした。Nrf2ノックアウトマウスを用いた検討から、脂肪酸組成による脂肪酸代謝、コレステロール代謝、胆汁酸代謝にはNrf2系が関与する可能性があることを見出した。さらにコレステロール吸収がNrf2による酸化ストレス制御系に及ぼす影響を検討した。コレステロール吸収阻害するezetimibeが肝臓におけるNrf2系の発現を増加させる事を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はまず脂肪酸組成の異なる各種油脂摂取が脂質代謝とNrf2系による酸化ストレス制御に及ぼす影響を系統的に検討した。雄性C57BL/6Jマウスを用い標準飼料(AIN-93)に準拠して作成した脂肪酸組成の異なる食事(10%大豆油、10%ラード、10%魚油含有飼料)にて飼育した場合、n-3不飽和脂肪酸を多く含む魚油群にて血清、肝臓中のtriglyceride, cholesterolは有意に低く、肝臓および小腸での脂肪酸分解(PPARα, ACOX,など)、コレステロール代謝(LXRα,ABCG5/G8)、胆汁酸代謝(Cyp8b1, Cyp27a1,Baat, Bsep,Mrp2, Mrp3)関連のRNA発現が亢進しており、脂肪酸組成の差は肝臓に加え小腸においても脂質・胆汁酸代謝に影響する事が明らかとなった。Nrf2 knockout miceにおいてはこれらの遺伝子産物発現がwildに比べて高く、魚油の効果は少なかったことから魚油による脂質・胆汁酸代謝への影響にNrf2系の関与が示唆された。次にコレステロール吸収がNrf2による酸化ストレス制御系に及ぼす影響を検討した。コレステロール吸収を阻害した群(ezetimibe投与群)作成し、ezetimibe投与が肝臓におけるNrf2系(Nrf2, Nqo1, Ho1など)の発現増加をみた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の成果を踏まえ、コレステロール吸収がNrf2による酸化ストレス制御系に及ぼす影響を系統的に検討する。方法としてはNrf2ノックアウトマウスと野生型のマウスをAIN-93に準拠して作成した脂肪酸組成の異なる7%大豆油、7%ラード、7%魚油含有飼料にて飼育した群、各々のコレステロール吸収に及ぼす影響を検討するために1%コレステロールを加えた食餌を与えた群、各々にezetimibe (0.005%)含有した食餌を与え小腸でのコレステロール吸収を阻害した群を作成し、肝臓の脂質組成、酸化ストレスマーカー、脂質、胆汁酸、酸化ストレス系の遺伝子産物を計測する。さらに様々なNrf2アクチベーター(oltiplaz, sulforaphane, isothiocyanatesなど)を用いて、酸化ストレス制御は脂質代謝に如何なる影響を与えるのかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究を遂行するため、マウスの購入、飼育にかかわる餌、薬物、物品、分析に必要な試薬の購入などにあてる。
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