2013 Fiscal Year Research-status Report
脂質代謝と酸化ストレス制御間のクロストーク機構に及ぼす食餌中脂質組成の役割
Project/Area Number |
24501010
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
上硲 俊法 近畿大学, 医学部附属病院, 教授 (20233934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 裕滋 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (00465650)
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Keywords | Nrf2 / 脂質組成 / 高コレステロール食 / ezetimibe |
Research Abstract |
食餌中脂質の量的な差がNrf2- keap1系に影響を及ぼす事が知られており、脂質代謝と酸化ストレス制御の間にクロストークが存在すると推測されている。そこで我々は食餌中の油脂脂質組成の差異は脂質代謝のみならずNrf2- keap1系による酸化ストレス制御に影響を及ぼすのではないかと仮説をたて、平成24年度に以下の事を明らかとした。1)脂肪酸組成の異なる各種油脂摂取が脂質代謝とNrf2系による酸化ストレス制御に及ぼす影響を検討する事によりn-3不飽和脂肪酸を多く含む魚油が肝臓、小腸における脂質代謝、胆汁酸代謝に影響及ぼす事のみならず、ABC transporterやNrf2関連遺伝子産物の発現に影響する。2)Nrf2-KOを用いた検討から脂肪酸代謝、コレステロール代謝、胆汁酸代謝にはNrf2系が関与する。 これらの事を踏まえ、平成25年度にはコレステロール吸収がNrf2による酸化ストレス制御系に及ぼす影響を系統的に検討した。雄性Nrf2-KOと野生型マウスを用い標準飼料にて8週齢まで飼育したのち1)コントロール(C)群、2)高コレステロール食(H)群、3)ezetimibe含有食(E)群、4)高コレステロール食+ezetimibe含有食(HE)群、の4群に振り分け4週間飼育した。野生型ではH群で脂肪酸代謝に関連のあるFAS, ACC1, SREBP-1c, SCD-1c, CD36、ABCG5、ABCG8、CYP7A1の肝臓における発現の上昇を認め、E群ではこれらの発現は低下していた。一方Nrf2ノックアウトマウスこれらの発現は各群において有意差は認めなかった。これらの遺伝子発現はマウスにおいてLXRαの制御を受けている事が知られており、高コレステロール食やezetimibe投与によりコレステロール吸収の変化が引き起こすこれらの結果からNrf2はコレステロール吸収量の変化による脂肪酸、コレステロール、胆汁酸代謝はLXRαを介している事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の経過からNrf2を介する脂質代謝制御がLXRα依存性である事が示唆されたため、追加の実験を計画しているが、当初予定されていた研究は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度および25年度の成果を踏まえると、Nrf2は様々なメカニズムを介して脂質代謝に関わっている事、LXRαを介した脂質・胆汁酸代謝の制御を行っている可能性がある事が示唆された。LXRαはRXRとheterodimerを形成して作用する転写因子である。そこで平成26年度にはLXRαと同様にRXRとheterodimerを形成する事により作用する転写因子(FXR, PPARα, PXR)のリガンドをNfr2 KOマウスに投与することにより、Nrf2がこれらの制御系に如何なる影響を及ぼすのか検討する。さらに様々なNrf2アクチベーター(oltiplaz, sulforaphane, isothiocyanatesなど)を用いて、Nrf2を介する酸化ストレス制御が脂質代謝に如何なる影響を与えるのかを検討する。
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Research Products
(4 results)