2013 Fiscal Year Research-status Report
食品から粘膜免疫に対して賦活化効果のある物質の分離同定
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24501017
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
伊勢川 裕二 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (20184583)
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Keywords | 食品 / ウイルス / 感染症 / 免疫学 / 粘膜免疫 / 抗ウイルス効果 / 抗菌効果 |
Research Abstract |
食品抽出物ライブラリーの作成は順調に進んでいる。ライブラリー中の粘膜免疫の賦活効果のある物質の検索にあたり、まず、抽出物がウイルスあるいは細菌に対して直接生育を制御するかどうかを検討した。その結果、培養細胞を用いた感染実験から、インフルエンザウイルスやロタウイルスに対して抗ウイルス効果を示す数種類の抽出物や大腸菌、サルモネラと黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果を示す別の数種類の抽出物が見つかった。 インフルエンザウイルスやロタウイルスに対して抗ウイルス効果を示す食品の1つははと麦茶で、そのはと麦茶に含まれているはと麦、ハダカムギ、大豆の抽出物にも抗ウイルス効果が認められた。大豆抽出物の液体クロマトグラフィーに分離とウイルス生育阻害物質のLC/MSによる分析から、1つの候補は大豆ポリフェノールの内のイソフラボンである可能性が示唆された。またこの候補はウイルスの増殖を阻止している可能性が、経時的なこの候補の感染細胞の培養液への添加実験から示された。また、大豆抽出物の中にはウイルスの細胞への吸着を阻止する物質もあることが示唆された。 インフルエンザウイルス(ニューカレドニア株)をマウスに感染させた後の鼻腔内および肺臓中のウイルス力価およびIgA力価は測定可能となった。また、このインフルエンザウイルスをマウスに感染後、発病し、体重減少するウイルス濃度と発病し、死に至るウイルス濃度を明らかにした。現在、インフルエンザウイルスをマウスに感染後、感染マウスの死亡率を減少させる抗ウイルス効果を示す抽出物を検索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インフルエンザウイルスやロタウイルスに対して抗ウイルス効果を示す食品を新たに見つけたことにより、その解析に時間を取られ、本来の研究課題を推進するための時間的余裕が十分にとれなかったためである。しかし、ウイルス感染症の抑制という意味においては、抗ウイルス効果を示す食品の発見およびその成分の同定、作用機序の解明は研究として非常に価値があるものと考えられるので、本来の研究課題を推進すると同時に抗ウイルス効果を示す物質の同定を行うことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
食品抽出物ライブラリー中の粘膜免疫の賦活効果のある物質の検索は引き続き行う予定である。しかし、インフルエンザウイルスやロタウイルスに対して抗ウイルス効果を示す食品の新たな発見は、研究遂行上、抗ウイルス効果を示す食品中の成分の同定とその作用機序の解明が、非常に重要な課題として持ち上がってきた。従って、研究推進にあたり、抗ウイルス効果を示す成分の同定とその作用機序の解明も行う予定である。方法としては、抽出物の液クロによる生成とLC/MS/MSによる解析、解析が不十分なときはNMRを用いての解析を行う。さらに、同定産物を合成もしくは購入し、抗ウイルス効果を示すかどうか検討する。
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Research Products
(8 results)