2013 Fiscal Year Research-status Report
メタボリック症候群のリスク低減に有効な食品成分の探索
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24501021
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Research Institution | Shokei University |
Principal Investigator |
徳冨 芳子 尚絅大学, 生活科学部, 教授 (90253723)
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Keywords | 機能性食品成分 / メタボリック症候群 / フラボノイド |
Research Abstract |
メタボリック症候群の発症および進展のリスク低減に有効な食品成分を探索することを目的として、今年度は、フラボノイドをはじめとする各種ポリフェノールを用いて、血管平滑筋細胞の増殖および血管の収縮張力に対する影響の比較検討をおこなった。 まず、マウス大動脈由来 初代培養平滑筋細胞を用いて、高濃度グルコース存在下の細胞増殖に対するフラボノイドの影響について検討した。高濃度グルコース存在下における平滑筋細胞増殖の活性化に対し、ダイゼインおよびゲニステインは有意な抑制効果を示した。同条件に対し、L-シトルリンによる影響は認められなかった。ダイゼインおよびゲニステインによるこのような細胞増殖抑制効果が、慢性的な高血糖での血管壁肥厚の予防に寄与する可能性が示唆された。 また、マウス大動脈の収縮張力に対する影響を調べた結果、ダイゼイン、ゲニステイン、ケルセチン、ルテオリン、ヘスペレチン、レスベラトロール、エクオール、アピゲニンは、それぞれ濃度依存性及びNO依存性の弛緩効果を有することが認められた。さらに、これらの食品成分存在下で、アセチルコリンの弛緩反応が、NO合成酵素阻害剤を前処置したにもかかわらず観察された。K+チャネル阻害剤(アパミン)の影響を調べた結果、ケルセチン、レスベラトロール、エクオール、およびアピゲニンによる弛緩作用には、血管内皮由来のNO産生だけでなく、平滑筋細胞のK+チャネル活性化も関与していることが示唆された。ポリフェノールのイオンチャネルに対する効果を調べた電気生理学的検討で、神経興奮抑制作用が報告されていることから、さらに詳細なメカニズムを検討する予定である。 その他、メタボリック症候群モデルマウスを用いた検討にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で認められた、大豆フラボノイドの血管平滑筋細胞増殖に対する抑制効果の新たな知見から、他の機能性食品成分を用いた検討へ展開できる。 また、用いた8種類のポリフェノールによる血管の収縮・弛緩に対する効果から示唆された作用メカニズムの知見をふまえ、酸化ストレスの関与についての検討へ展開できる。 現在、メタボリック症候群モデルマウスを用いた検討も進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
メタボリック症候群モデルマウスや各種培養細胞を用いて、機能性食品成分の効果について酸化ストレス制御の観点から検討することで、メタボリック症候群の発症・進展のリスク低減に対して有効な食品成分の探索を引き続き行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入した物品が、予定より安価であったため、残額としての未使用額が発生した。 未使用額は、次年度の研究費と合わせて、研究に必要な消耗物品の経費に充てる。
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