2013 Fiscal Year Research-status Report
生活活動リズムに整合したポスト思春期(性成熟完成期)女性の食育プログラムの提言
Project/Area Number |
24501022
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Research Institution | Ashiya College |
Principal Investigator |
藤原 智子 芦屋学園短期大学, その他部局等, 教授 (60310744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 理恵子 奈良女子大学, 生活環境学部, 講師 (90198119)
藤原 浩 金沢大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30252456)
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Keywords | ポスト思春期 / 生殖機能 / 若年女性 / ダイエット / 生活リズム / 食育プログラム |
Research Abstract |
性機能成熟期である思春期の食生活の重要性についてはこれまで多くの報告がなされてきたが、思春期以後さらに性機能が完成しつつある女性(18-22歳)には適切な医学的分類用語が存在せず、食生活において自立を始めつつある時期にもかかわらず彼女達を対象とした将来の疾患に対する予防的な食生活指導および指標は十分でなかった。 そこでこの時期を「ポスト思春期」と位置づけ、食生活習慣と生殖機能障害間の関係を明らかにする目的で、性成熟完成期にあるポスト思春期の女子学生のダイエット経験や生活習慣と月経障害について実態調査を実施し、カロリー制限下での卵巣機能の状態の検証を動物実験により試みた。 その結果、生活習慣の中で睡眠時間が6時間未満の場合に月経周期が不規則となる割合が高いことが確認された。 一方で月経痛についてはこれまで報告してきた通り, 過去にダイエットを経験した群において強い傾向が見られたが, 睡眠時間が6時間未満でさらにその傾向が顕著となり、睡眠不足はダイエットによる若年女性の生殖機能障害の増悪因子となる可能性が示された。また50%カロリー制限下でポスト思春期モデルの雌性ラットの性周期の変化と卵巣の様態変化を観察した結果、カロリー制限によって性周期の乱れがみられ、コントロール群に比して卵巣の大きさや卵胞、黄体の個数に著しい変化が認められた。さらに視床下部と下垂体について、マイクロアレイ法によって遺伝子を網羅的に解析したところ、非活動期にカロリー制限食を給餌した群において発現変動した遺伝子が多く見られた。 本研究により得られた結果はダイエットに加えて、睡眠不足といった生活リズムに関わる要素が卵巣機能に悪影響を及ぼす可能性を示唆しており、近い将来に母性を担う時期にある「ポスト思春期」の若年女性に対する効果的な教育プログラムの開発を進める上で意義ある知見といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成人女性の生殖機能の健全性確保を目指して、性成熟完成期である「ポスト思春期」女性に対する適切な食生活の提言のための知見を得る目的で、アンケートによる実態調査と雌性ラットによる検証実験を実施し、生殖機能に影響を及ぼす要因として、ダイエット行動に加えて、生活リズムの乱れのなかでも睡眠不足因子を抽出することができた。この結果は次年度に予定している食生活改善プロトコールに反映させる必要のある重要な成果であり、今後の研究の方向性がより明確なものとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
食生活調査に並行して「ポスト思春期」の食生活ラットモデルを用いた動物実験を引き続き行い、ダイエット下での食生活習慣や摂食リズムと生活リズムの乖離が性機能に対する影響の検証と作用メカニズムに関しての情報を得て、ダイエット志向の「ポスト思春期」の女性に対する生殖機能障害のリスクを下げる食育プログラムを提案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度に追加実験の必要が生じたが、予算では不足があるため、今年度の動物実験の個体数を調整して、最終年度である次年度に繰り越すこととした。 追加実験を行うための試料等の購入に使用する。
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Research Products
(5 results)