2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24501026
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
大西 貴弘 国立医薬品食品衛生研究所, 衛生微生物部第4室, 衛生微生物部第4室長 (30321855)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 食中毒 / 寄生虫 / DNA / 分子疫学 / 分子遺伝学 / RAPD法 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、寄生虫性の食中毒事例が国内で急増しているが、これまで大規模でかつ頻発する寄生虫性の食中毒の発生はほとんどなかったため、寄生虫性食中毒に対する分子疫学的解析はほとんど行われていない。一方、細菌やウイルス性食中毒に関しては、種々の分子疫学的解析手法が開発され実用化されている。近年ではこうした方法が感染源の特定や食中毒事例間での微生物株の比較に威力を発揮している。本研究では細菌やウイルスの分子疫学的解析に用いられてきた解析法の寄生虫への応用を試みた。 本研究ではモデル寄生虫として近年国内で最も問題となっているKudoa septempunctata を用いた。種々の検討の結果、Random Amplified Polymorphic DNA法(RAPD法)がK. septempunctataの分子疫学的解析に適していることが明らかになった。そこでRAPD法を用いてK. septempunctataの分子疫学的解析を試みた。食中毒由来ヒラメ34検体,参考品ヒラメ6検体からK. septempunctata胞子を精製し、解析した。その結果,K. septempunctataは8つのグループに分類された。2010年10月に発生した愛媛県の大規模事例由来8株は4つのグループに分類された。韓国産ヒラメ由来8株は愛媛県の大規模事例が分類された3つのグループに分類された。以上の結果から、愛媛県の事例では韓国産ヒラメに寄生しているものと近縁株を含む複数の株が関与している可能性が示唆された。また、発生日が近い事例から分離された株同士は近縁関係にある場合が多く認められたことから、これらの事例には共通の遺伝的背景を持った株が関与している可能性が示唆された。以上、今回の結果から、RAPD法はK. septempunctataの分子疫学的解析法の一つとして有用であることが示唆された。
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