2014 Fiscal Year Annual Research Report
トランスクリプトーム解析による食用植物油摂取が生活習慣病に与える影響の機序解明
Project/Area Number |
24501030
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
内藤 由紀子 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (80426428)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 直温 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (30242978)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 食用油 / 生活習慣病 / 血圧 / モデル動物 / カノーラ油 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、食用植物油の摂取が、生活習慣病の発症および進行に与える影響について調べることとした。一般的に安全だと認識されている食物であっても、生活習慣(食習慣)が原因となる疾患においては、これらの摂取によって何らかの影響がある可能性が考えられる。したがって、その背景を詳細に解析することで、疾患の治療法や予防法が見つかる可能性があると考えられる。そこで本研究では、日本での供給量第1位の食用植物油であるカノーラ油に注目した。また、同第2位であり、ラットの通常試料の脂肪源として含有するダイズ油を対照植物油とした。 摂取動物は、生活習慣病モデル動物の一種である脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)を用いた。無脂肪精製粉末飼料に、10 w/w%の含有量となるカノーラ油またはダイズ油を添加し、これらを動物に摂取させた。前年度までの実験において、摂取第3週以降、カノーラ油群の収縮期血圧はダイズ油群と比較して高値を示すことが明らかとなったため、カテコラミンの生合成・代謝に関与する遺伝子発現に対するカノーラ油摂取の影響について調べた。摂取第2週において、副腎のカテコラミン分解酵素のmRNA発現は、カノーラ油群で低下していることが認められた。第4週で発現が増加し第8週以降低下したが、第4週以降の発現量には群間差がなかった。また、第16週では合成酵素のmRNAの発現が低下した。以上の結果から、カノーラ油摂取により、カテコラミン関連遺伝子発現が影響を受けることが明らかとなった。これまでの研究において、大豆油摂取と比較して、カノーラ油を摂取したSHRSPは生存日数が短縮すること、高血圧に関連する病態の進行促進があることを確認し、これを報告している。この背景には、本研究結果で認められた、摂取の比較的早い時期に発現したカテコラミン関連遺伝子変動が関与することが示唆された。
|
Research Products
(2 results)