2013 Fiscal Year Research-status Report
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24501032
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
安居 光國 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40200498)
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Keywords | 技術者倫理 / 仮想事例 |
Research Abstract |
技術者倫理を受講した学生にとってもっとも認識の高い事例は、身近な事例であることは、アンケートより明らかになった。食品の関わる雪印乳業食中毒事件、ミートホープ食肉偽装事件、そして子供、高校生が被害者になり、街中にあるエレベーター、自動ドアに関わるシンドラーエレベーター事件、六本木ヒルズ回転ドア事件である。そこで、雪印乳業食中毒事件をもとに仮想事例の設計、製作をした。この場合、骨子は食品の安全性に対する知識が当事者および周囲の人間が不十分であったこと、関係者に金銭等の責任がかかる程度の軽減化を重視したことに起因する。そこで、この点を要素に加え、学園祭の出店をテーマに仮想事例を作成した。 仮想事例では、出店において安全知識の不足、責任問題をテーマに置き、想定される行動を選択するように設計した。さらに、当事者個人の責任が強く求められる短い語句を加えたストーリーと加えていないストリーの両方を用意し、ストーリー設計により、被験者の選択肢を予測できるかを検証した。 その結果、技術者ではない一般人を対象としたストーリーであっても、行動選択はおおむね道徳的であり、顧客の健康、安全を配慮したものであった。しかし、当事者個人の責任が強く求められる場合は、公衆の健康、安全よりも当事者個人の利益、被害の低さを求めるように行動選択が変更された。すなわち、仮想事例において、設計どおりの被験者の調査が可能であることが示され、研究目的の年次計画が達成できた。今後、他の事例についても方法を確立し、仮想事例作成の汎用性を持たせる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
仮想事例の設計を少数例であるが行った。そして、それを用いて、効果の検証をし事例作成が設計どおりの効果を示したことが示されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
事例設計例の多様性と汎用性を高めることにある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外での発表が予想以上に格安になったためであることと、調査経費、打ち合わせ経費が節約できたことが大きい。 積極的な情報発信をする予定である。研究協力者との調整をこれまでメールを中心にしてきたが、事例設計の場面ではメールのみでは不足することが見えてた。そのため、直接に議論する機会を設けるための交通費に利用する。また、感性の近いアジアの技術者倫理研究者との交流のための交通費にあてる。 また、25年度に明らかになった、身近な事例の重要度を勘案し、これに関し詳しい研究者との情報交換が必要になったため、この情報交換、事例検討に利用する。
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