2014 Fiscal Year Research-status Report
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24501032
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
安居 光國 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40200498)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 技術者倫理 / 仮想事例 / ケースメソッド / 事例作成 / 行動変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
仮想事例の構築を技術者の人間性の弱さをターゲットにした。1つは問題の責任を対象者が負うべきかいなかという点で作成した場合,明らかに負担がないときの反応と異なった。すなわち,負担という責任が生じるときは,責任回避の次善の行動を選択することが明確に示された。 次にこのような事例のごく一部を改変作成した手法で,行動変容を評価する手法がアジアの他国にも通じるかを議論するため,ユネスコ・アジア倫理教育の場に提唱した。道徳的な倫理教育を性善説で問うこれまでの倫理教育に対し,人間の倫理行動の変容を測定できることに対し,とくに韓国,インドの研究者から高い評価を受け,共同研究の打診があった。いずれの国も技術立国であり技術者教育に強い関心を寄せているためであろう。Mitsukuni Yasui, Manabu Aoyagi, Ding Li Yu, Hiroyuki Fujiki, and Mitsuo Mizoguchi, Proceeding of First UNESCO Asia-Pacific Conference on Ethics Education for All, pp.103-113 (2014) また,この手法の実践的な適用のために日本企業の海外工場(タイ)を調査し,現地従業員に対する様々な対応をインタビューした。これにより,現地従業員を扱う上でのノウハウから仮想事例に盛り込むべき要素を明らかにした。今後はこの要素を盛り込んだバージョンも試行する。 さらに,大学院生を対象に仮想事例の作成法を要素を組み込む技術により実践させた。その結果,大学院生に身近な研究環境を場面に1つだけの間違いを組み込んだわかりやすい事例が作成され,この手法が仮想事例の簡便な作成方法として示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
仮想事例による行動変容を測定できることをデーターを持って示すことができた。 事例作成に関する方法論とその確認が行われた点においては計画どおりである。 また,この方法論が他国においても利用可能であるかをアジア各国の一流の倫理研究者によって評価を受けた。 日本企業の海外工場での文化による技術者倫理問題に適用できるようにするための,海外調査は中国に次いでもっとも熱心なタイにおいて行われた。しかしながらタイ政府の政策を鑑みるとアジア他国の調査も必要と考えられ,その調査に入った。調査調整に時間を要し,27年度に延長せざるを得なかったことから,一部に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は26年度に企画した海外調査を1件実施し,日本企業に有効な事例教育方法を提案する。 また,プロジェクトの次のステップとしては,仮想事例のブロック化を進める。現在は,仮想事例の作成は,本研究が提案した,完全事例に問題点をマイクロインサートするものであるが,ここでは完全事例そのものを作ることに教育者である作成者の負担が大きい。そこで,教育を目的とした事例においては,必ずしも全てがオリジナルである必要がないため,複数のブロックを遺伝子のスプライシングや組換えをイメージした構造化を目指す。
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Causes of Carryover |
日本企業の海外工場の調査,分析の経費であり,この調査準備を進めていたが,国際情勢の急変のために実施が困難になった。そのため,再調整の時間を確保するために,期間延長願いを出し,許可をいただいた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外調査を企業出身者の研究協力者とともに,現在調整中である。当該企業は人財育成に熱心であり,少ない日本人スタッフが多数の現地スタッフとのコミュニケーションに苦慮しているとのことで,調査に協力的である。その後に,調査結果を事例作成におけるマイクロインサートの要素として明確に示し,事例作成手法に組みいれる予定である。
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