2012 Fiscal Year Research-status Report
ITを駆使した初等教育における天体観察授業教材の開発と実践
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24501034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
高田 淑子 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (70302255)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 天文教育 / 理科教育 / インターネット / IT教育 / 天体観察 |
Research Abstract |
1. 全方位型星空ライブシステムの開発: 広角レンズと高感度カラー映像カメラを組み合わせた星空撮像システムを開発、中学校屋上にて東西南の3方位に向けて設置し星空を継続撮像した。ライブには至らないが、SDカードに映像データを蓄積することにより、好天日の星の運動の映像を作成した。これらは、生徒の身近な学校の景色の中での星の運動の映像観察が可能なため、有効な教材となりえる。 2. 月の位置撮像装置の開発: 月の形と天球上の月の位置の時間変化を理解する教材を作成するために、月の運動を捉える映像の撮像を実施した。上下左右に回転することにより全方位撮像可能な高感度防犯用ネットワークカメラを小型ドーム内に格納し、天候に左右されずに定期的に夜空全体を撮像可能とした。撮像画像は、インターネットを介して定期的にダウンロードし自動合成することにより、天球上の月の位置の時間経過がわかる映像を作成した。 3. 月の形撮像装置の開発: 月の形を捉えるために小型望遠鏡を用いて月を継続観察し、月の形データベースを構築した。 4. 月の満ち欠けの授業実践: 月の形・位置撮像装置により得られた月の形の画像や月の運動の映像を用いて、月の満ち欠けの授業実践を中学校で実施し、教材について評価し、課題の洗い出しを行った。 5. タブレット端末を用いたインターネット望遠鏡の操作の実現: 宮城教育大学に現存するインターネット望遠鏡の操作は従来パソコンを利用していたが、無償のアプリを活用し、タブレット端末でインターネット望遠鏡を操作するシステムを開発した。タブレット端末を小学生に利用させてインターネット望遠鏡を操作させたところ、従来と比べ操作が容易となり活用度が広がることが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、当初、全方位型星空ライブカメラシステムの構築と運用を目標としていた。この内訳は、(1)全方位型星空ライブカメラシステムの制作、(2)撮像配信・保存システムの構築、(3)国内での設置・運用(H25/26継続)であった。このうち、(1)の撮像システムについては、ライブ機能以外のシステムは構築され、中学校に設置することが可能となったため、今後は、ライブシステム並びに(2)を構築することが期待される。この場合、公立中学校はセキュリティの観点からもインターネットの使用に制約があるため、大学に移設し、まずは大学内でのシステム運用を確立する必要がある。 しかし、平成25年度以降に実施する予定であった、月ライブシステムを平成24年度から開発・構築することができた。特に、防犯用ネットワークカメラを利用した月の位置観察システムの試作機を開発し、画像蓄積システムを構築した。さらに、中学校の授業でこれらの撮像映像を活用し、教材としての評価が得られた。これらは、平成24年度の研究目的を超え、次年度以降の予定を先取りした点である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度については、主に、小型独立型「月ライブ」・「金星ライブ」・「太陽ライブ」システムの構築と運用を目指す。 (1)小型独立自動追尾型「月望遠鏡」「金星望遠鏡」「太陽望遠鏡」の構築: 高感度カメラを付した天体ライブ用小型望遠鏡を赤道儀に設置し、遠隔操作により自動追尾休止機能を用いて運用する。また、これらの装置をアクリル半球のハウジング内に収納することで、ルーフの開閉等の駆動部をなくし運用の軽減を図り、長時間・長期間の公開を可能とする。特に、太陽望遠鏡は、減光・Hα等のフィルターを付し太陽表面の特徴を観察するためフィルターと撮像装置の検討が必要となる。 (2)「月」・「金星」・「太陽」ライブの映像蓄積・公開の自動化: 天体ライブ用小型望遠鏡に接続した高感度カメラで撮像された天体映像は、ネットワークサーバー経由でインターネット配信され、ホームページ上で観察可能とする。また、画像/映像蓄積サーバーに撮像データを蓄積する。月や金星の満ち欠け、太陽の黒点の移動等長期にわたる変化が短時間でわかる映像を自動作成しホームページ上で閲覧できるように、既存の「全天ライブ」システムを改良する。 (3)「月ライブ」・「金星ライブ」・「太陽ライブ」の実施: 自動化した「月ライブ」「金星ライブ」「太陽ライブ」を公開し運用のテストを行うと共に、定着を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
太陽望遠鏡は高温にも耐えうる材料の鏡筒と撮像装置、かつ、光量調節のためのフィルターが必要であり、それぞれ新規購入する予定である。また、各ライブシステムは、望遠鏡制御装置、撮像制御装置として制御用PCが必要となるため、これらも新規導入予定である。主には、これらの撮像装置開発に用いられるが、設置場所の多角化のための調査、また、意見交換によるシステム向上を目的とした学会参加などのための旅費を計上している。 さらに、ネットワークのセイキュリティと保守点検に関しては、専門家の専門知識の提供を受けることにより、安全性を確保するための費用も計上する。
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