2014 Fiscal Year Research-status Report
ITを駆使した初等教育における天体観察授業教材の開発と実践
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24501034
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
高田 淑子 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (70302255)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 理科教育 / 天文教育 / IT教育 / 天体観察 / インターネット望遠鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
天文分野は授業中の実験・観察が困難なため、IT機器やインターネットの活用が期待される。そこで、本研究では、初等教育で学習する天体映像をインターネット配信するシステムを構築し、教材を開発することを目的とする。H26年度の進捗項目として下記の4点が挙げられる。 1.インターネット望遠鏡関連システムの更新、並びに、画像サーバーの導入:旧WindowsのOSサポート終了に呼応した新OS導入に伴い、新OS上では稼働不可と判明した、(1)遠隔操作ソフトウエア(リモートデスクトップ機能)、(2)望遠鏡制御ソフトウエア、(3)撮像装置と制御ソフトウエア、を再検討し、新規システムを導入・構築するに至った。また、ライブで取得される画像・映像等の教材データの蓄積・加工・配信用にサーバーを導入・構築した。 2.太陽観察装置の検討、並びに、星空ライブシステムの更新:耐熱型太陽望遠鏡を制御装置に接続し、太陽表層の特徴を観察可能としたほか、太陽の日周運動を理解する全天視野カメラについて、より簡易化したカメラシステムを検討した。さらに、星空ライブ用カメラの撮像微調整が困難な点を克服するため、カメラ制御装置に延長ケーブルを接続するほか改造を施し、撮像装置の微調整ができるシステムに更新した。また、過去に得られたデータの中から学校教材に利用できるデータを抽出し、教材用素材を集積、ホームページ掲載用に加工し、実践授業を実施した。 3.タブレット端末を用いた遠隔からの天体観測の実践:インターネット望遠鏡をタブレット端末を用いて操作し、天体の遠隔観察授業をするシステムを更新し実践授業を実施した。特に、テザリング機能の使用により、教室内の機材・配線等がスリム化され操作性向上が図られた。 4.情報公開:教材の一般公開用のホームページのデザイン設計を行い、既存システムについて一部公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インターネット望遠鏡システムやライブシステム関連の駆動制御装置等は、Windows搭載のPC・サーバー等を用いてたが、旧OSのサポート終了により、セキュリティを鑑み最新OSに更新した。その結果、旧OS上で稼働中のプログラム等が新OSに対応せず、ほとんどのシステムについて新規検討が必要となった。H25,26年度は、この予期せぬ新OSへの対応に追われ、H26年度遅れを取り戻せなかった。 その結果、1年間研究期間を延長することにより、十分な時間をかけて未完成のシステムの構築、並びに教材開発を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、継続的に、各ライブシステムの構築と運用を実施し、実践により初等教育における教材としての評価を行う。 1.ライブシステムの完成:太陽、月、金星の撮像システムを構築するとともに、ライブ映像配信と映像画像蓄積システムを完成し公開するとともに運用の自動化を目指す。 2.補助教材の開発:各ライブシステムで自動保存された映像から良好な条件下のデータ等選択し、特徴的映像教材を蓄積し、モデル実験と合わせた補助教材を開発する。 3.授業実践による教材の評価:開発した教材について授業実践により評価する。 4.ホームページによる公開・理科教育関係の発表:ホームページを整理し、新教材を公開し、教材の発展に寄与する。理科教育関連学会、雑誌、あるいは、教員が接する雑誌等に紹介記事を発表することで普及を促す。 5.総括:教材システムの評価も含めて本研究の総合評価を行う。
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Causes of Carryover |
H25年度、観測装置システム全般の基盤OSのサポート終了に対応し、セキュリティの観点から、新OSの導入を迫られた。新OS上で各システムが稼働するように、種々のシステムの更新、ならびに、新規機材、ソフトウエアの導入等、見直しを図った。研究計画作成時には、OSのサポート終了ならびに更新を予期しておらず、不具合の特定並びに解消に、約1年予定が遅れる主たる原因となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
望遠鏡駆動装置等、一部テスト利用として既存の他目的用の物品を流用していたものがあるため、活用可能と判断した場合には、新規システム用に購入する。また、H27年度は最終年度にあたるため、学会発表等のための旅費に使用する。遅れているシステムの開発については外注も検討し、今年度内にて研究計画を順調に完了したい。
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