2013 Fiscal Year Research-status Report
算数・数学授業における子どものアイディンティティーと数学的知識の形成との関係
Project/Area Number |
24501045
|
Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
高橋 等 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (80293273)
|
Keywords | アイデンティティー / 算数 / 算数授業 |
Research Abstract |
調査参加者の小学3年時における算数に関するアイデンティティーを調査するために,2つの時点における算数授業の参与観察とインタビューを行った。授業の参与観察では,調査参加者の活動をビデオカメラで記録し,調査参加者の発言と動作とからプロトコルを作成した。インタビューでは,調査参加者の発言をビデオカメラで記録し,プロトコルを作成した。参与観察で得られたデータとインタビューから得られたデータから,調査参加者が形成するアイデンティティーの様態を解釈し,その形成に係わる幾つかの重要な要因を特定した。調査参加者が形成する算数に関するアイデンティティーには,学校での算数授業を通して形成されるものの他,学校外での経験が大きく影響を与えていることが明らかとなった。すなわち,学校外での経験とは,家庭での学習や塾での学習である。その他に,保護者による調査参加者への期待が,調査参加者の算数に係わるアイデンティティーの形成に影響を及ぼすことも明らかとなった。例えば,算数を自分がしなければならないことであるとの,一種の義務的なアイデンティティーを形成しているケースがあり,このケースでは小学2,3年時の個人的アイデンティティーの形成において,保護者の調査参加者への算数学習への期待―より日常的には学習に関するしつけ―が義務的アイデンティティーの形成に影響を及ぼしていることになる。 これらの知見をまとめ,日本数学教育学会誌に投稿し,受理された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査に関しては,調査協力校における行事との調整があり,当初計画していた一学期における調査を実施できなかったものの,二学期以降の調査で,データを得られており,大きな支障はない。冬期の調査において,インフルエンザによる学年閉鎖が生じてしまったが,平成26年度に実施する調査で,調整する予定である。その他に関しては,順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度も二回ほどの調査を実施する予定である。すなわち,二つの単元における授業の参与観察と,インタビューの実施である。既に,調査協力校とは,26年度の調査実施に関する調整を行っている。 平成26年度はこの課題における最終年であるため,研究の一応のまとめを行う予定であり,成果を学会誌に投稿する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費による支出が見積もり以上でなかったことによる。 旅費による支出が今年度は大きくなりそうなことと,印刷費が確保できていない状況なので,今年度は研究費をすべて使用することになる。
|
Research Products
(2 results)