2012 Fiscal Year Research-status Report
児童・生徒も自作可能で変色温度を任意に設定できる感温変色教材の開発
Project/Area Number |
24501047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井原 良訓 金沢大学, 学校教育系, 教授 (70115210)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サーモクロミズム / 教材 / 塩化コバルト / 固体アルコール |
Research Abstract |
塩化コバルト・6水和物(ヘキサアクアコバルト(II) 塩化物)は水に溶けて固体の時と同じ桃色、アルコール類では青色を呈する。従って、低融点の固体アルコールと混合した試料(薄い桃色)は、加熱によりアルコール類の融点をむかえると、CoCl2・6H2Oが溶解して青色へと変わることが期待される。色変化はアルコール類の融点で起こるので、アルコール類の選択により、任意に変色温度を制御できる。ただし、CoCl2・6H2Oは60℃を超えると自身の脱水により同じく青色に変色することが知られているため、60℃以下の融点をもつアルコール類(炭素数11の1-ウンデカノール(融点:15℃)から、炭素数18の1-オクタデカノール(54-62℃))について検討した。 その結果、全ての系において目的の可逆的サーモクロミズムが認められ、室温から60℃までの温度領域をほぼ10℃刻みでカバーできる一連の感温変色材を開発することができた。 さらに教材への展開として、CoCl2・6H2Oと固体アルコールをモル比1:5で調製した試料をラミレート封入して、簡易サーモシートを作製した。市販の温度変色カードや示温シール(いずれも商標名)と同様の使い方が可能であった。また,変色温度の異なる数種類の小片を帯状に同一シート上に貼付けて‘温度計シート’にも展開できた。 変色の機構については、融解したアルコール中に分散したCoCl2・6H2O粒子がアルコールによって脱水される、すなわち、アルコール分子のアクセプター性(脱水作用)による効果が支配的であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の研究計画に挙げたニッケルや銅錯体については未検討であるが、塩化コバルトの系では目的の反応系を見いだし、さらに、25年度以降の計画であった学校教材への展開まで進展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
着色剤として、塩化銅・2水和物や硝酸ニッケル・6水和物などの市販の塩や、申請者らが開発したソルヴァトクロミズムを示す錯体、[Ni(acac)(tetmen)]B(C6H5)4 (acac=アセチルアセトン,tetmen=N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン)や同型のCu(II)錯体(例えば、Polyhedron,17,3247-3253(1998).)を利用する。CoCl2・6H2Oが利用できない60℃以上の高温部で有効となる。また、固体アルコールの替わりに変色剤として脂肪酸やアミド類を用い、不可逆シリーズを完成させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬、実験機材などの消耗品の購入が中心となる。この他、調査、成果発表などの旅費を計上する。
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Research Products
(1 results)