2012 Fiscal Year Research-status Report
植物の生殖を扱う単元におけるウリ科植物に替わる雄性不稔を利用した教材の開発
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24501054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
渥美 茂明 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (70144623)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自然科学教育 / 植物教材開発 / 雄性不稔 / 育種 |
Research Abstract |
赤色葉を持つ稔性系統を用いた維持系統を先行して育出する予定であったが、緑色系統を使用した作業も並行して行った。葉色を決定する主動遺伝子が複数存在するため、3個の赤色稔性系統をともに維持系統を育出することは、作業量の極端な増加をもたらすことと、赤色稔性系統への戻し交雑の成否を判定することに若干の不安を感じるから、緑色葉の維持系統を育出する作業を先行させた。 緑色の稔性系統を用いた育出 不稔系統と稔性系統の雑種を稔性系統に掛け戻し、稔性系統の細胞質に2つの不稔遺伝子をヘテロ接合で持つ持つ個体を含むと期待されるF2群を得た。約70個体育成したF2群を不稔系統に対して交雑し、約70系統の雑種種子を得た。各25個の種子を播種し、不稔の個体を含む系統を探索した。2つの不稔遺伝子をともに持つヘテロ接合体を8個体選抜し、自殖種子を採取した。茎や葉柄の赤色の着色が弱いヘテロ接合体を4系統選び25ないし50粒ずつ、総計125粒の種子を播種し、F3群を栽培した。F3群中に不稔遺伝子をホモ接合で保持する個体を見いだすために、現在、F3群のすべての個体を不稔系統に対して再び交雑し、得た交雑種子を順次播種、育成している。 赤色の稔性系統を用いた育出 葉が赤色を呈する3つの稔性系統を不稔系統に交雑し雑種を作出した。この雑種を元の稔性系統に掛け戻し赤色のF2群を得た。赤色のF2群を3系統、100粒播種し、不稔系統に対して検定交雑を行った。現在、検定交雑で得たこれらの種子を播種して、2つの不稔遺伝子をともに持つヘテロ接合体を検索している。 葉色を数値化するために、分光色差計による測定の準備 装置のセットアップした。葉の成熟(成長)に伴う葉色の変化が測定にかかることが判明したので、測定時期を最適化する必要がある。測定時期を最適化できれば、色彩の評価の指標を検討に移ることが出来る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
緑色の稔性系統を用いた作業に注力したが、維持系統の育出する研究全体の目標に対して、2つの不稔遺伝子をホモ接合で保持する個体を検索するための検定交雑と雑種個体の栽培による評価に到達している点は、ほぼ予定に沿った進捗状況である。ただし、2つの不稔遺伝子は期待していたほどの連鎖を示さず、ホモ接合体を見いだすまでには至らず、維持系統の選抜のためには多数の自殖種子を播種して検定を行う必要に迫られていることは若干の遅れであり残念である。一方、赤色の稔性系統を用いた維持系統の育出は戻し交雑群からのヘテロ接合体の選抜まで進んだことから予定よりも若干進んでいる考えている。選抜したヘテロ接合体を自殖によってホモ接合体に戻す際の葉色の評価に分光色差計を使うために予定した準備も行えた点は良い。
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Strategy for Future Research Activity |
緑色稔性系統を用いた維持系統の育出を中心にしたい。25年度前半は、現在行っているヘテロ接合体の自殖種子(F3)から不稔遺伝子をホモ接合で保持する細胞質を置換した個体を探索する作業を続行する。主茎や側枝に生じる赤色や朱色が可能な限り薄い維持系統が得られると期待している。平行して、赤色の稔性系統を用いたヘテロ接合体の探索を行い、25年度後半には、自殖種子を播種して赤色の系統に関してもホモ接合体の探索を行いたい。このとき、葉色を分光色差計で評価し、赤色葉の主導遺伝子についてホモ接合体を早期に選抜出来ることを期待しているので、測定の時期の最適化を行いたい。葉色による選抜後の個体群から維持系統を探索することにより、維持系統からの主導遺伝子の欠落を回避したい。 以上の計画を実行するために、培養室内に栽培の場所(棚)をさらに増設するとともに、実験補助員を24年度以上に活用する必要があると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
植物の栽培と管理に長けた実験補助員を探したが、24年度には十分に確保することが出来なかった。大学の立地条件など、学外者から補助員を得ることが難しいので、学内での採用に向け努力する必要がある。また、栽培を終了した植物と用土やポットなどの始末や洗浄などの雑作業には、さしたる熟練は必要ないので、このような雑務を任せる補助員を採用することを積極的に検討したい。 緑色系とともに赤色系のF3群を栽培するようになると、栽培の場所(栽培棚)を増設する必要に迫られると予想させる。そこで、効率的な配置を工夫して、栽培棚の増設とスペースの拡張を図りたい。現在、間口120cmと180cmの棚を各2基用意しているが、120cmでは照明器具がはみ出し、180cmでは照明が届かない領域が生じてしまう。そこで間口150cmの棚6基に置き換え、照明の有効利用と効率的な配置でさらに多くの植物の栽培を行えるようにしたいと考えている。
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Research Products
(1 results)