2012 Fiscal Year Research-status Report
理科教育における360°全天周実写動画を使用した防災教育授業モデルの開発
Project/Area Number |
24501056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
吉住 千亜紀 和歌山大学, 宇宙教育研究所, 特任助教 (70516442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾久土 正己 和歌山大学, 観光学部, 教授 (90362855)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 科学教育 / 防災 |
Research Abstract |
本研究は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とその後の津波によって発生した東北地方沿岸部の被災地の様子を、我々がすでに整備している360°全天周動画撮影・投影システムにより記録撮影し、全国のプラネタリウム等施設で利用可能な防災教材を制作することである。 まず記録撮影は、主な撮影地を岩手県内3か所(大槌町、釜石市、陸前高田市)に設定し、これまでに4回の撮影を実施した。それらを比較することで、その復興のスピードは決して速くはないことがわかる。次に、記録撮影した映像データから2分から10分程度に編集したサンプルを数種類準備し、和歌山大学デジタルドームシアターにおいて投影実験を実施している。 さらに、今後東南海・南海地震の発生と津波による被災が想定されている静岡県及び徳島県で希望のあった小学校に、学校近隣のプラネタリウムに協力を依頼し、サンプルデータによる投影実験とアンケート調査を実施した。これらのアンケート調査から、全天周映像が通常のモニタ(TVを含む)の映像に比べ臨場感と迫力を感じ、より実体験に近いことが明らかになった。 現在、地震から2年が経過し、被災地における現場の保存・記録の重要性が叫ばれ賛否が問われているが、これらの議論は、どれほど甚大な被害を受けても人間の記憶はやがて風化し、世代を超えて伝えられないからに他ならない。平面モニタによる映像は社会に浸透し、あらゆる現場で使われているが、我々はすでにそれに慣れすぎている。全天周映像の教材化により、身近なプラネタリウム等施設が「いつでも繰り返し被災地の現場を体験できる学習の場」になり、記録と伝承の新しいツールになることに重要な意義があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
記録撮影については予定通り進展しており、今後も定期的に実施する予定である。 また、サンプルデータによる投影実験及びアンケート調査も実施しており、今後もさらに進める計画がある。 現在、映像への各種資料の付加について調査・検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
記録撮影については、今後も定期的に実施する。 映像の教材化については、学習指導要領にそって同時に実施できる単元の内容を関連付けるなど、小中学校の現場で利用しやすい映像教材を調査検討する。それをもとに撮影データに各種データ(文字、図表他資料等)を付加し、全天周防災教育教材としてまとめる。 同時に、全国のプラネタリウム等施設に協力を呼びかけ、投影の可否を調査し、その結果をもとに配布データを準備する。 その後、教育委員会等を通じて全国の理科教員に全天周防災教育教材(内容及び利用方法)と協力プラネタリウム等施設を紹介する。実際の利用に際してはアンケート調査を実施し、教材内容にフィードバックする。 なお、計画の段階では映像による影響を憂慮し被災地における投影実験は考えていなかったが、地震から2年経過した現在、現地での記録と伝えていくことの重要性がクローズアップされてきているため、実施可能性や有効性を調査検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)