2013 Fiscal Year Research-status Report
理科教育における360°全天周実写動画を使用した防災教育授業モデルの開発
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24501056
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
吉住 千亜紀 和歌山大学, 観光学部, 特任助教 (70516442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾久土 正己 和歌山大学, 観光学部, 教授 (90362855)
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Keywords | 防災教材 / 全天周映像 |
Research Abstract |
本研究は、2011年3月11日に発生した東日本大震災で被災した岩手県南部の4地域を中心に、その現場の様子を360度全天周動画撮影・投影システムにより記録し、全国のプラネタリウム等施設で利用可能な防災教材を制作、配布を目的としている。 記録撮影では大槌町中心部、釜石市釜石港、同小白浜漁港、陸前高田市中心部を撮影地として設定し、約半年ごとの定点撮影をこれまでに6回実施した。またそれらの映像より、被災直後の2011年5月とその後5回の映像を編集し、同地点の被災と復興の様子を示す教材サンプルを制作した。 その成果を全国プラネタリウム協議会(JPA)研修会等で発表するとともに、和歌山大学デジタルドームシアター及び飯田市美術博物館(長野県)、すばるホール(大阪府)、徳島県立あすたむらんど(徳島県)等協力施設のプラネタリウムにおいて投影実験及びアンケート調査を実施した。そこでのアンケート調査から、平面映像に比べてはるかに高い臨場感・没入感が得られること、またそのことにより、「見せられている=他人事」にとどまらず「興味に応じて見回す=自分の体験」としてとらえることができることが明らかになった。また3年経過して見えてきた地域による復興状況の違い等から、今後より長期間の定点撮影への期待が多く寄せられた。 また技術的な面では、速い動きのあるシーンでは車酔いに近い気分を生じるなどの状況が見られたため、今後シーンの変更や編集方法の調整により、教材を改良する。 被災地から遠隔地で実施した実験により、すでに大震災の記憶が薄れていることがひしひしと感じられた。このことから、より臨場感のある360度全天周映像による記録は、今後年月を経るにしたがって重要になると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
被災地の記録撮影、全天周映像データの準備、投影フォーマットの調査等はほぼ計画通り進んでいる。 しかし、全天周映像データに添付する各種データの準備がやや遅れており、それらを加えた後、教材データとして配布する計画である。 また、全国のプラネタリウム等施設での小中学校等に対する授業実践については本年度は実施できておらず、現在調整中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は記録撮影の計画はしていなかったが、可能な限り継続したい。 そして、これらの映像をまとめた映像教材を全国のプラネタリウム等で希望する施設に配布し、施設担当者及び近隣の小中学校教員に紹介、アンケート調査を実施する。その結果を教材内容にフィードバックし、改良を進める。 また、平成25年9月に被災地域を含む三陸一帯が日本ジオパークに認定されたことから、ジオパークや世界遺産(自然遺産)等の全天周映像を組み合わせた理科授業モデルについても、調査・検討したい。 最後に、これらの成果を関係学会等で発表する。
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Research Products
(4 results)