2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24501059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
仁田坂 英二 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60222189)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝 / 遺伝学 / アサガオ / メンデル / 組換え |
Research Abstract |
本年度は以下の項目に用いるアサガオ系統を育成する目的で、交配実験や、既存の系統の遺伝子型の調査を行った。 1)メンデルの基本法則を理解するためのアサガオ系統の育成: 既にヘテロ接合で維持している、柳(m-w)、獅子(fe)、牡丹(dp)、笹(dl)、渦(ct)、白子(al)等について、単一または複数の変異を保持している系統の分離比を調査し、メンデル則に従って分離することを明らかにした。単性~3性までの分離解析に対応できる系統の候補が複数得られ、より形質の観察しやすい変異に絞って次年度以降も育成・増殖を進める。 2)特殊な遺伝現象を説明するためのアサガオ系統の育成: 補足遺伝子を説明するための系統として、遺伝子座の異なる複数の白花変異体を交配し、その雑種第1代を得た。次年度はこの系統を展開し、両方の変異についてヘテロ接合の株を選抜する。その際、DNA構造によるヘテロ遺伝子型同定も利用する。同義遺伝子についても、獅子(fe)と笹(dl)、打込(cm1)を持つ系統の交配を行った。中間遺伝に関しては、獅子、丸葉、マルバアサガオの白花について交配実験およびF2世代の分離を確認し、表現型の観察も容易で教材として利用できることが明らかになった。 3)組換え現象を説明するためのアサガオ系統の育成:これまで利用していた、柳(m-w)と黄葉(y)を持つ系統の遺伝子型の調査を行った。この2遺伝子間はやや距離があるため、より連鎖の強い組み合わせを探す目的で、紫(pr)と石畳(cs)、斑入(v1)と褐色種子(br)の連鎖を調査した結果、明確な連鎖が確認できた。また別の候補として、南天(ac)と暗紅(mg)については明確な連鎖関係は確認できなかった。これらの結果を基に組換えを説明するための系統の育成を次年度以降進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた系統の育成(項目1~3)について、おおよそ予定通りの成果を得ており、既存の系統の中から、本研究の目的にそのまま利用できる系統も選抜することができ1世代早く成果が得られた項目もあるため。次年度も引き続き進めていくことで当初の目的を達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の項目1~3については、既に系統が確立しているものについては、分離比等の詳細な調査を行い、種子の増殖も開始する。交配によって得たF1系統は今年度に栽培・採種、冬期に温室でF2系統の展開・選抜を行う。その際、変異遺伝子が同定されているものについてはPCR法による遺伝子型同定も利用し効率化を図る。また今年度は以下の項目についても研究を開始する。 4)様々な遺伝現象を説明するためのシロイヌナズナ系統の育成: アサガオは栽培が容易であり多くの教育現場に対応できるが、実験室内だけで栽培が完了するシロイヌナズナの利用価値も高いと考えられ、アサガオと同様の系統セットを育成し利便性を向上させる。既に使用する変異体の多くを入手しており、25年度は交配を開始する。また、遺伝子組換え系統にしか無い変異体はtilling系統から候補変異を選抜する。 5)植物材料の栽培方法の改善: アサガオおよびシロイヌナズナを多くの教育現場で使用できるように簡便な栽培方法を試験する。予備的な実験でシロイヌナズナはピートモス培地での栽培が簡便で好成績を得ているため方法を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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