2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24501059
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
仁田坂 英二 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (60222189)
|
Keywords | 遺伝 / 遺伝学 / アサガオ / メンデル / 組換え |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き以下の遺伝学教育に用いる系統を育成する目的で、交配実験や、既存の系統の遺伝子型の調査を行った。 1)メンデルの基本法則を理解するためのアサガオ系統の育成:前年度調査した、ヘテロ接合で維持している、柳(m-w)、獅子(fe)、牡丹(dp)、笹(dl)、渦(ct)、白子(al)等について、より形質の観察しやすい変異を持つ系統に絞り、種子の増殖を行った。また、新規に見つかった子葉で検出しやすい無翼片変異と、柳、白子を組み合わせた系統等の作成を行った。 2)特殊な遺伝現象を説明するためのアサガオ系統の育成: 補足遺伝子を説明するための系統として、前年度交配した異なる白花変異体間のF1を展開し、両方の変異についてヘテロ接合の株を選抜した。同義遺伝子についても、獅子(fe)と笹(dl)、打込(cm1)を持つ系統のF2を展開し、子葉の段階では二重変異になった際に強い表現型を示すことが確認できた。 3)組換え現象を説明するためのアサガオ系統の育成:前年度調査した、柳(m-w)と黄葉(y)、紫(pr)と石畳(cs)、斑入(v1)と褐色種子(br)に加えて、獅子(fe)と丸葉(Co)の連鎖関係を利用することにし、これらを容易に確認できる系統の作成および既存の系統からの選抜を行った。 4)アサガオは栽培が容易であり多くの教育現場に対応できるが、季節を選ばず、簡単な装置と実験室内だけで栽培が完了するシロイヌナズナの利用価値も高いと考えられ、アサガオと同様に基本的な遺伝実験に使うことができる系統のコンビネーションを選び、系統の増殖や交配を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた系統の育成や選抜がおおよそ予定通り進捗しているため。次年度も引き続き進めていくことで当初の目的を達成できると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度までの、メンデル遺伝、特殊な遺伝、連鎖・組換え現象を確かめる系統の育成を更に進め、子葉等、できるだけ早い段階で鑑別しやすい表現型を保持する系統の確立に努める。 既に系統が確立しているものについては、分離比等の詳細な調査を行い、種子を増殖する。新しいコンビネーションを作るために交配をした系統は、冬期の温室等も利用することで系統の確立までのスピードアップを図る。その際、変異遺伝子が同定されているものについてはPCR法によるヘテロ株における遺伝子型の同定も利用し効率化を図る。 植物材料の栽培方法の改善: アサガオおよびシロイヌナズナを多くの教育現場で使用できるように簡便な栽培方法を試験する。硬実種子であるアサガオはそのままではそろって吸水しないため、刃物で傷を付けるか濃硫酸で処理する必要があるが、生徒の利用も考慮し危険性の少ない方法を検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は系統作成に際し、野生型と区別できないヘテロ接合株をDNAを用いることで調査することを予定していたが、目的にあった既存の系統が見つかったことや、劣性変異についてホモ接合の株が予想より多く得られた。そのため、DNA型の調査が不要になる実験も多く、購入予定のDNA抽出キットやTaqポリメラーゼ等の必要量が少なかったため、次年度使用額が生じた。 当初の計画では、確立した系統について主に表現型レベルの調査に留めておくものが多い予定であった。しかし、提供後の分離等考えるとヘテロ接合の遺伝子型まで調査しておくことが望ましい。そのため、次年度は、ヘテロ接合の遺伝子型等、詳細なDNAレベルの調査を行う系統数を当初の予定より増やす予定である。そのため、DNA抽出キットやTaq等DNA解析に必要な消耗品が増えるが、この分は次年度使用額を利用する。
|
-
[Journal Article] A chalcone isomerase-like protein enhances flavonoid production and flower pigmentation2014
Author(s)
Morita Y, Takagi K, Fukuchi-Mizutani M, Ishiguro K, Tanaka Y, Nitasaka E, Nakayama M, Saito N, Kagami T, Hoshino A, Iida S.
-
Journal Title
Plant J.
Volume: 78
Pages: 294-304
DOI
Peer Reviewed
-