2012 Fiscal Year Research-status Report
より人間らしい音声に対応した小児・成人の声道模型と音響教育への応用
Project/Area Number |
24501063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
荒井 隆行 上智大学, 理工学部, 教授 (80266072)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 科学教育 / 音響教育 / 音声生成 / 声道模型 / 可視化 / 母音 / 子音 / 成人・子ども |
Research Abstract |
本研究では、音声生成に関する仕組み等を分かりやすく理解するための模型を中心とした教材ならびに教育プログラムの開発等を進めている。特に2012年度は「より人間らしい」音声とその仕組みを追求するため、より多様な音声を表現できるように従来からの教材群の拡大を図った。対象を日本語の母音から英語の子音にまで広げ、声の対象も成人男性のみならず成人女性や子どもも入れるなど、以下に述べるいくつかの試みを行った。 ・舌可動式声道模型:可動式アクリル製ブロックを用いた屈曲型の模型を再設計。実験の結果、舌位置により各母音において高い認識率を確認。それとは別にアルミ製舌の上部をレバーで操作し、舌の上半分が折れ曲がる模型も2種類設計。一方は弾き音(日本語の/r/)、他方は接近音を生成可。さらに後者は舌の長さも可変式で、側面接近音(英語の/l/)とそり舌音(英語の/r/)に対応。全てにおいて所望の音が生成されることを確認した。 ・スライド式3音響管(S3T):短くかつ細い筒を用いることで、子ども・女性用の模型も実現できることを確認。また、S3Tで確認された母音の形状を実現するパイプ式声道模型も製作。 ・ディジタル・パターン・プレイバック:従来の単一イントネーションに加え、基本周波数を可変にしたり、歌声を合成するなどの改良を実施。タブレットPCによりフォルマントの時間変化を指で入力できるアプリも開発中。 ・教育プログラム等:Acoustic-Phonetics Demonstrationsとして、成果の一部を説明文、デモ動画・音声等でweb上にて公開開始。 以上について、Cincinnati大学とは共同研究の可能性を含め情報交換、建国大学・西江大学にて成果を交えた授業を実施した。その他、Zurich大学の授業やSourthern California大学でのworkshop(中学2年生対象)でも模型が活用された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の柱は6本あり、うち4つが大きく進展、他2つが小さな前進をした。前者の1つ目は舌可動式声道模型で、特にブロックを用いた屈曲型の模型を対象に再設計を行い、ブロックがどの位置でどの母音が生成させるかを確認するところまで精査できた点が評価される。2つ目はスライド式3音響管であり、子ども・女性用のサイズとして短く細いタイプのものを試作できたことが評価される。3つ目はディジタル・パターン・プレイバックであり、基本周波数を可変させることで抑揚を付加したり歌声合成が可能となった。4つ目は教育プログラム等として、Acoustic-Phonetics Demonstrationsをweb上でリリースできたことが評価させる。その他、リード式音源については、子どもの音声用として小さいサイズのリード式音源も検討中であり、また頭部形状模型についても子どもサイズを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
リード式音源ならびに頭部形状模型については、引き続き小さいサイズの検討を続ける。舌可動式声道模型についてもサイズに対する検討の他、/l/-/r/音の模型に対する評価、ブロックをスライドさせるタイプの可能性を模索、指操作式の検討・試作等を進める。スライド式3音響管については、子ども・女性用のサイズの絞り込みと、科学教室などで工作がより容易になる工夫の検討、ディジタル・パターン・プレイバックについてはユーザが自由に形状を組み合わせて作ったパターンから音声を合成するシステムの検討、教育プログラム等ではAcoustic-Phonetics Demonstrationsの充実を図ることを予定。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
模型の材料費、あるいは設計・製作のための製作費などが1つの柱となる。またディジタル・パターン・プレイバックや教育プログラムのコンテンツ等を制作するために、その一部(録画・録音やホームページ化などを含む)を外注する予定である。また成果の報告やアウトリーチ活動のために、国内外の旅費、英文校閲費、会議登録料、論文投稿料などが発生するので、それらに使用予定である。
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